日本TIが、ゲートドライバとともに電流センシングの機能を内蔵するGaN FETの新製品「LMG3622」「LMG3624」「LMG3626」を発表。主にPCやスマートフォン、タブレット端末のACアダプター向けに展開する。
日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2023年12月7日、オンラインで会見を開き、ゲートドライバとともに電流センシングの機能を内蔵するGaN FETの新製品「LMG3622」「LMG3624」「LMG3626」を発表した。主にPCやスマートフォン、タブレット端末のAC/DC電源アダプター(ACアダプター)向けに展開する方針。1000個注文時の単価(参考価格)は3.18米ドル(約460円)。LMG3622とLMG3626は量産出荷を開始しており、LMG3624は量産前の限定数量での提供となる。
今回発表したGaN FETの新製品は、3品種とも耐圧が650V(VDS)で、オン抵抗(RDS)はLMG3622が120mΩ、LMG3624が170mΩ、LMG3624が250mΩ。外形寸法は8×5.3mmで、38ピンQFNパッケージを採用している。
最大の特徴は、業界最高クラスの精度とする電流センシング機能を内蔵していることだ。これにより、従来は必要だった電流センシングのための外付けシャント抵抗が不要になる。外付けシャント抵抗を省けるので、ACアダプターの電力変換回路のフットプリントを小さくできるとともに、シャント抵抗で発生する電力損失も削減できる。つまり、ACアダプターの小型化と省電力化を同時に実現できることになる。
今回の新製品の採用による効果としては、一般的なディスクリートGaN FETやシリコンFETを用いる場合と比べて、67WのACアダプターであればサイズを最大50%削減できるという。また、内蔵と外付けを含めたシャント抵抗で発生する電力損失を94%削減することが可能だ。この電力損失の削減などによりシステム効率を向上でき、75W未満のACアダプターで最大94%、75W以上のACアダプターで最大95%を達成できる。なお、一般的なシリコンFETを用いるACアダプターのシステム効率は89〜91%だという。また、小型化と省電力化によってACアダプターの熱発生を抑えやすくなるメリットも得られ、2023年5月に第4版が発行された電子機器の放熱に関する標準規格IEC 62368-1にも準拠が容易になる。
GaN FETの新製品3品種は評価基板も販売中で、価格は250米ドルから。電流センシング機能を内蔵していない、ピン互換の品種として「LMG3612」と「LMG3616」も提供する。
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