北海道の3病院を結んだ「視て触れる」遠隔視触診の実証実験に成功医療機器ニュース

NTTコミュニケーションズらは、「視て触れる」新しい医療通信システムを開発し、北海道内の中核病院3拠点を結んだ遠隔視触診の実験に成功した。視覚情報と診察動画を統合、伝送し、遠隔で触覚を再現できる。

» 2024年01月24日 15時00分 公開
[MONOist]

 NTTコミュニケーションズは2024年1月10日、北海道大学らと共同で、「視て触れる」新しい医療通信システムを開発し、北海道内の中核病院3拠点を結んだ遠隔視触診の実験に成功したと発表した。

 同システムは、触診向けセンシング機器および触覚情報を遠隔で再現する機器の制御技術、5Gを活用した触覚情報と視診向けの高精細動画を連動する技術から成る。

 医師がセンサーで取得した触診情報を動画フレームごとに埋め込み、触覚情報と動画内の触覚の場を完全に同期させる。これにより、触覚情報を含むコンテンツデータベースとして他の医師との情報共有が可能になり、転院時の情報連携や医学生への教育に活用できる。また、リアルタイムで視触診情報を転送することで、遠隔での視触診が可能になる。

キャプション システムの活用イメージ[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ

 遠隔視触診の実証実験として、北海道大学病院、帯広厚生病院、函館中央病院を5Gで連携し、上腕部のリアルタイム遠隔触診を実施した。

 触覚センシングと4K解像度の動画を統合して、遠隔地で動画とひも付く触覚を再現した。その結果、上腕部の骨部、筋肉、腱の触覚再現と弁別、各部位の弛緩(しかん)および緊張状態の弁別、逐次変化が、複数の医師により再現、確認できた。

キャプション 函館、帯広、札幌3拠点遠隔触診実験の構成[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ
キャプション 函館、帯広、札幌3拠点遠隔触診実験の様子。左:受信側、中央:送信側、右上:センサーデバイス、右下:触覚再現器[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ

 全国的に地方は医師不足で遠隔医療のニーズは高まっているが、その高度化には、触診できないことが課題となっていた。また、従来は触診を数値化できず、医師の間でデータを共有することが困難だった。

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