選択と集中の加速では、非重点事業の取り組みとして光学コンポーネント事業で中国電子部品大手のラックスビジョンとの戦略的業務提携を締結した。「選択と集中は2023〜2024年度に特に注力することだ。手始めとして、2023年度は、半導体装置向けの事業に注力するために、付加価値が低い非産業用途のレンズの生産などについては中国のラックスビジョンに譲渡した。今後については、方向転換事業として位置付けているデジタルワークプレース(DW)DX事業や画像IoT(モノのインターネット)事業の方向性を明確にし、開示していく」(大幸氏)。
2025中計の数値目標では2025年に、財務指標で、ROEは5%以上、総資産回転率は1.0回転、事業貢献利益率は5%以上を、非財務指標で、従業員エンゲージメントスコアは7.7、自社製品ライフサイクルのCO2排出量は61%(2005年比)削減、顧客/取引先のCO2削減貢献量は80万トン(t)以上を掲げている。「ROEで5%というのが相場と比べ低いのは分かっているが、当社は数年間にわたり赤字経営が続いているため、最低ラインとして確実に5%以上をクリアするぞという意気込みで設定している」(大幸氏)。
また、DXに関しては営業部門と生産現場で活用事例がある。営業部門では、蓄積された営業実績をAI(人工知能)で分析し、有力な見込み客と対象社に適した商材を見極められるソリューションを開発した。これにより、新規顧客開拓の強化や既存顧客への製品の追加提案/契約継続を達成している。「この活動は米国の拠点からスタートしたが、現在は欧州やアジア太平洋(APAC)周辺の拠点でも展開されている。この延長線上で、顧客に合わさせた提案を自動生成できるAIを開発したい」(大幸氏)。
生産現場ではDXにより高機能現像ローラーの良品率を高めた。大幸氏は「事務機に組み込まれる高機能の現像ローラーを内製化しているが、良品率を80%以上にすることに苦労していた。そこで、蓄積された設備や部品加工、組み込み、検査のデータをAI『MAGGY』にリアルタイムに学習させて、良品率を最大化する製造条件を計算させ、良品率を95%にした。なお、当社では、製造現場の力とデジタルマニュファクチャリングを融合することが製造DXだと定義している。当社の強みは現場の実務者とデータサイエンティストがタッグを組み、両社を理解しているリーダーが仕組みの変革を推進する点だ」と述べた。
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