横浜市立大学は、迅速病理診断と迅速分子診断を統合した、術中統合診断システム「i-ID」を開発した。中枢神経系悪性腫瘍の検体採取から、90分で正確に診断できる。
横浜市立大学は2023年10月20日、迅速病理診断と迅速分子診断を統合した、術中統合診断システム「i-ID(intraoperative-Integrated Diagnosis)」を開発したと発表した。中枢神経系悪性腫瘍の検体採取から、90分で正確に診断できる。
成人の中枢神経系悪性腫瘍には、発生頻度の高いびまん性神経膠腫や原発性中枢神経系リンパ腫など、さまざまな疾患がある。その正確な鑑別には、組織学的診断と遺伝子変異などの分子診断を統合した診断が必要となる。
今回の研究では、中枢神経系悪性腫瘍が疑われた患者の組織を採取し、迅速病理診断により形態学的評価を行った。これに加えて、症例に応じてGFAP抗体とCD20抗体を用いた迅速免疫組織化学検査を実施した。
i-IDによる疾患の判定は、世界保健機関が定めた最新の中枢神経系腫瘍分類(WHO CNS5)基準に基づいて決定し、術後の統合診断結果(p-ID)との比較でその信頼性を評価した。153例を対象とした後方視的検討では、153例中145例でi-IDとp-IDの判定が一致した。一致率は、94.8%となっている。
また、診断アルゴリズムを作成し、前方視的にi-IDの信頼性を検証したところ、101例中98例でi-IDとp-IDが一致した。一致率は、97.0%だった。
今回の結果は、疫学的な点からも、i-IDシステムが日常臨床における成人悪性中枢神経系腫瘍の大部分をカバーできること示唆している。
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