住友ゴム工業は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」で、サステナブル原材料比率が80%のコンセプトタイヤとあらゆる道にシンクロする開発中のゴム「アクティブトレッド」を用いたタイヤを披露した。
住友ゴム工業は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)で、バイオマス材料やリサイクル材料など「サステナブル原材料」の比率が80%のコンセプトタイヤとあらゆる道にシンクロする開発中のゴム「アクティブトレッド」を用いたタイヤを披露した。
サステナブル原材料比率80%のコンセプトタイヤは、廃タイヤを原料としたサステナブル(再生)カーボンとリサイクルゴム(ゴム粉/再生ゴム)、植物由来のオイル、もみ殻由来のシリカ、バイオマス由来の原料を活用したサステナブル合成ゴム(ブタジエンゴム)、建築廃材を原料とした再生スチール、廃棄ペットボトルを原料とした再生PETなどで構成される。
住友ゴム工業の説明員は「当社では製造する全タイヤのサステナブル原材料比率を2030年までに40%とし、2050年までに100%とすることを目標に掲げている。この目標に向けた取り組みとしてサステナブル原材料比率80%のコンセプトタイヤを開発した。材料の性能について、サステナブルカーボンはバージンのカーボンブラックと比べて補強性が劣るが、もみ殻由来のシリカは通常のシリカと同等の性能を実現している」と話す。
アクティブトレッドは「TYPE WET」と「TYPE ICE」の2種類を用意している。TYPE WETは、乾いた路面とぬれた路面に対応するタイヤで、信越化学工業製の改質剤、クラレ製のポリマー、水を引き込む補助材料、ひずみでエネルギーロスを高める材料、ENEOSマテリアル製のイオン結合ポリマーなどから成る。
信越化学工業製の改質剤は、TYPE WETが水で軟らかくなるためのスイッチとなるイオン性フィラー改質剤で、水に触れることでフィラー周辺の材料から切り離される他、この改質剤によりフィラーはゴム内部への水路となる。
クラレ製のポリマーは、TYPE WETが水で軟らかくなるためのベース材料で、他のイオン性材料と組み合わせることでイオン性を発現する。さらに、水に触れると他の材料から離れポリマーの運動性が高まるため、ゴムに軟らかさと粘性を備える。
ENEOSマテリアル製のイオン結合ポリマーは、水やひずみによるTYPE WETのエネルギーロスを高める。具体的には、絡み合ったイオン結合ポリマーが水に触れた時やひずみが生じた際に分離することで、WETグリップ時に大きなエネルギーロスを起こす。これらの材料の機能によりぬれた路面でも制動力を発揮し雨天でもスリップを発生しにくくする。加えて、いずれの材料も乾燥することで周辺の材料あるいはポリマーと再結合し、乾いた路面の走行で適した状態となる。「つまり、雨天でも晴天でも自動車のブレーキを踏んだ時に同じ性能を発揮するのがTYPE WETだ」(説明員)。
TYPE ICEは、乾いた路面と凍結した路面に対応するタイヤで、氷上で軟らかさを発生する2種類の材料、低温で硬くなりにくい材料、北海道大学と住友ゴム工業が共同開発した低温で軟らかくなる材料などで構成されている。
低温で軟らかくなる材料はTYPE ICEのために開発中の材料で、ポリマーと水の混合物となっている。特徴は体積を変えずに温度に対して相変化を繰り返す点だ。これにより、高温で樹脂のように高強度となり、低温でゼリーのように軟らかくなる。これらの材料の機能により、凍結した路面では滑りにくく走行しやすいタイヤとなり、乾いた路面ではそれに適した状態になる。
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