京都大学は、プラズマ中で生じる乱流によるエネルギーや粒子の輸送を予測する、乱流輸送モデルの高精度化に成功した。理論やシミュレーションによる予測と実験によるデータを組み合わせ、乱流輸送モデルの予測精度を高めた。
京都大学は2024年12月12日、プラズマ中で生じる乱流によるエネルギーや粒子の輸送を予測する、乱流輸送モデルの高精度化に成功したと発表した。理論やシミュレーションによる予測と実験データを組み合わせ、乱流輸送モデルの予測精度を高めた。
今回の研究で用いたのは、マルチフィデリティモデリングと呼ばれるデータ科学の手法だ。高精度なデータ(高フィデリティデータ)の不足を、精度は低くても数が多いデータ(低フィデリティデータ)で補い、全体的な予測精度を向上させる。1つの入力データに対し、複数の異なるフィデリティのデータを出力する非線形自己回帰ガウス過程回帰(Nonlinear Auto-Regressive Gaussian Process regression:NARGP)でデータ間の関係を取り入れ、高フィデリティデータを予測する。
研究グループは、低解像度および高解像度シミュレーションデータの統合、核融合プラズマ実験データに基づく乱流拡散係数の予測、簡易理論モデルと乱流シミュレーションデータの統合などの事例に適用。マルチフィデリティデータ融合手法により、予測精度が向上することを確認した。
理論とシミュレーションの予測力と実験データによる定量的な情報を組み合わせた新手法により、核融合炉の性能予測や設計の最適化に寄与する。また、汎用手法として、他分野への応用も期待される。
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