東海エレクトロニクスは「CEATEC 2023」で最適な射出成形条件を導き出すのに有効な金型監視システム「V-Mold」を紹介した。
東海エレクトロニクスは、「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日、幕張メッセ)で、金型監視システム「V-Mold」を紹介した。
V-Moldは、双葉電子工業製の金型用樹脂圧力センサーと金型表面温度センサー、デンマークに本社がある計測機器メーカーのHottinger Bruel & Kjaer(HBK)製の汎用無線装置ノードと温度無線装置ノード、無線装置ゲートウェイ、計測用のPC、東海エレクトロニクス製の専用システムから成る。
利用手順は、金型を設置した射出成形機に、汎用無線装置ノードを接続した金型用樹脂圧力センサーと温度無線装置ノードをつなげた金型表面温度センサーを取り付ける。その後、両センサーが検知した金型の圧力や温度の変化が、両ノードから無線装置ゲートウェイを介して、専用システムを備えた計測用PCに送信される。
これにより、それらのデータを専用のシステムが波形で表示し、金型の異常をリアルタイムに確かめられるようになり、金型のメンテナンスのタイミングを決められる。例えば、一定の高さの波形が連続表示されていた後に、低い波形(ショット)がシステムに表示されると、金型に不良がある可能性がある。
具体的には、金型用樹脂圧力センサーはエジェクタピンを介してひずみゲージで金型内部の樹脂圧力を受け、金型内の樹脂圧力を測り、電気信号として出力する。一方、金型表面温度センサーは射出成形機内の金型のキャビティ(くぼみ)表面に設置することで、表面から1mm内側の温度を計測できる。
両ノードおよび無線装置ゲートウェイは、独自の通信プロトコルを採用しており有線方式の信頼性を確保しつつ無線方式の遠隔監視を実現する他、最大4kHZ/20Bitでの高速分解能のアナログ-デジタル(AD)変換(光や電波などのアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換)で有線計測と差分がない計測精度を誇っている。加えて、ゲートウェイとノード間の最大通信距離は260mを記録している。
また、専用システムに搭載された波形分析機能は金型の成形品質に直結する特徴データを集積し比較するため生産性向上で有効な成型条件の算出で役立つ。東海エレクトロニクスの説明員は「専用システムに両センサーでセンシングしたデータを蓄積し、そのビッグデータを外部のAI(人工知能)で分析することで最適な成形条件を導き出せる」と話す。
V-Moldの特徴は、金型へのセンサー設置で特別な加工が不要な点だ。加えて、無線装置ノードと無線装置ゲートウェイを活用することで、配線の取り回しを最小限とし、断線予防などの時間を短縮できる。
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