旭化成は北米で3Dプリンタ用フィラメントを試験販売開始したことを発表した。まずは変性ポリフェニレンエーテル樹脂製品である「ザイロン」のフィラメント製品から提供を行う。
旭化成は2023年10月19日、北米で3Dプリンタ用フィラメントを同月18日(米国東部時間)に試験販売開始したことを発表した。まずは変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製品である「ザイロン」のフィラメント製品から提供を行う。今後はポリプロピレン(PP)樹脂製品である「サーミレン」フィラメントのラインアップを予定している。また、並行して概念実証を進めている設計/シミュレーションサービスについても3Dプリンタ業界向けに提供を行う見込みだ。
3Dプリンタの市場規模は2022年以降も年平均20%超の成長が予測されている。既に欧米の自動車OEMでは3Dプリンタ部品の利用が進んでおり、試作用途のみでなく量産用途でも活用されている。今後はさらなる自動車用途での展開や電気/電子(E&E)用途での利用拡大が見込まれている。
こういった状況を踏まえて、旭化成は3Dプリンタ業界に向けてフィラメントビジネスと設計/シミュレーション支援ビジネスのグローバル展開を計画中で、まずはフィラメントの販売検証を3Dプリンタの世界最大かつ先端市場である北米から進めていく。
フィラメントビジネスでは、同社の機能樹脂事業でこれまで培ったアロイ技術、コンパウンド製法技術により顧客仕様に応じ多様なニーズに対応する樹脂製品を提供し続けてきた。新たな分野として注目される3Dプリンタ向けフィラメントでも、これらの技術を活用することで、顧客や市場のニーズに合わせた製品の開発を行う。
今回試験販売を開始した変性PPE樹脂のザイロン3Dプリンタ用フィラメントは、造形性(低反り/寸法安定性)/耐熱性/絶縁性に優れ、耐衝撃性も併せ持つグレードだ。今後は、PP樹脂サーミレン3Dプリンタ用フィラメントの試験販売も予定している。
設計/シミュレーション支援ビジネスでは、これまで主にエンジニアリングプラスチック製品を対象とした樹脂CAE技術サービスにより、顧客の製品の設計開発を総合的にサポートしてきた。樹脂CAE技術サービスはその精緻さに定評があるという。
今後さらにタイムリーかつ適切に要望に応えるため、同社は3Dプリンティングソフトウェアを開発するイスラエルのスタートアップCastorに出資参画し、高度なシミュレーションの自動化を含めて、両社のサービス拡張に向けたPoC(概念実証)を進めていく。
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