IVIは「IVI公開シンポジウム2023-Autumn-」を開催。カーボンニュートラルに向けたさまざまな実践的な取り組みを紹介するとともに、新たに中小製造業でも使用できる10万円のカーボンニュートラル対応キットをリリースすることを発表した。
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2023年10月12日「IVI公開シンポジウム2023-Autumn-」を開催した。カーボンニュートラルと生成AIをテーマに製造業の現場がどのように変化していくべきかの方向性を示すシンポジウムのうち、本稿ではカーボンニュートラルに対するIVIの取り組みについて紹介する。
IVIは、IoT(モノのインターネット)時代におけるモノづくりとITの融合によって可能となる新たなモノづくりの姿を、現場の課題感を起点に“緩やかな標準”というコンセプトで実現する団体だ。日本機械学会 生産システム部門の「つながる工場」分科会を母体とし、2015年6月に設立された。現在は会員企業が232社/団体となっており、609人が活動に参加している。
こうした成り立ちの一方で、IVIは「日本の製造現場」を土台とし、さまざまな課題解決に対し、積極的なリーダーシップを発揮してきた。例えば、2016年には日本のモノづくりの良さを織り込んだバリューチェーン参照アーキテクチャ(スマート工場の基本モデル)「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」を発表し、これが国際連携の場でも議論されるなど、海外に向けた日本独自のモノづくりモデルとして注目を集めた。
その他、製品のライフサイクルに加えて生産技術や工程設計のライフサイクルまで管理するためのモデル「製造サービスライフサイクル参照モデル」、これらのスマート工場化を推進するために突き当たる組織変革のための考え方を定義する「スマートシンキングオントロジー」、実際に変革を進めるためのよくあるシナリオとそれに使える16種類のチャートを定義した「スマートシンキングダイアグラム」などを次々に発表してきた。
さらに、製造情報などを企業間でやりとりするニーズが高まる中で安全に情報のやりとりを行える仕組みとして「企業間オープン連携フレームワーク」を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして推進。成果としてフレームワーク「Connected Industries Open Framework(CIOF)」を構築し2022年度から実用化を進めている。
また、このCIOFを利用した企業間データ連携の素材としてカーボンフットプリント情報の企業間情報連携をターゲットとし「カーボンチェーントラステッドネットワーク」なども提唱した。8年間でさまざまな新たな取り組みを積み上げてきた中で2023年の活動について、IVI 理事長の西岡靖之氏(法政大学 教授)は「カーボンフットプリントへの取り組みをさらに強化するとともに、CIOFをより便利にしていく」と述べている。
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