JR西日本とソフトバンクは、公道で自動運転技術と隊列走行技術を用いたBRTの実証実験を開始する。
JR西日本(西日本旅客鉄道)とソフトバンクは2023年9月15日、公道で自動運転技術と隊列走行技術を用いたBRT(Bus Rapid Transit、バス高速輸送システム)の実証実験を開始すると発表した。広島県東広島市にあるJR西条駅と広島大学 東広島キャンパスを結ぶ片道約5kmの県道/市道で連節バスと大型バスの計2台を走らせる。
実証実験では、電波状況や勾配など自動運転に影響を与える走行環境を検証する他、2台のバスを隊列走行させる際の課題を洗い出す。さらに、新技術に対する社会受容性の変化も測定する。東広島市民などに自動運転隊列走行BRTを体験してもらう試乗会も予定している。期間は2023年11月〜2024年2月で、年明けから一般利用も可能になる。
BRTは専用レーンの整備が必要だが輸送量が大きく、導入しやすい交通システムとしてJR西日本とソフトバンクは注目している。今後も自動運転隊列走行BRTの社会実装に向けた取り組みを進め、2020年代半ばにレベル4の自動運転車の許認可取得を目指す。東広島市は車線の一部をBRTの専用レーンにするなど整備を進める。
JR西日本とソフトバンクは、2021年10月からテストコースで自動運転隊列走行BRTの実証実験を行ってきた。当初計画していたテストコースでの検証が完了したことから、社会実装に向けた検討を進める次のステップとして東広島市での実証実験を開始する。
テストコースでは、バスの自動運転技術や、信号/踏切との連携などの要素技術を検証した他、ダイヤを設定した定常運行試験や、ODD(Operational Design Domain、自動運転システムが正常に作動する前提となる設計上の走行環境条件)を外れた状況を想定した異常時の運行試験などを行った。
要素技術では、連節バスの自動運転技術や、RTK-GNSSおよび磁石を使用した自己位置推定の他、異なる車両の組み合わせや順番での自動運転隊列走行、先頭車両のドライバーによる隊列内の全車両のドア開閉操作や車内アナウンス、隊列走行での正着制御(バス停への横着け)などを検証した。運行管理システムの指示による隊列形成や解除、遠隔地からの車内外の監視、プライベート5Gや光無線による車車間通信などについても機能を確認した。
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