企業によるデータ活用のためのAI(人工知能)プラットフォームを提供するDataiku Japanは2023年9月5日、同社のサービスや経営戦略に関する説明会をオンラインで開催した。
企業によるデータ活用のためのAI(人工知能)プラットフォームを提供するDataiku Japanは2023年9月5日、同社のサービスや経営戦略に関する説明会をオンラインで開催した。
Dataikuは2013年にフランスで創業したスタートアップで、Dataiku Japanはその日本法人で2022年に設立された。現在、グローバルで従業員数は1000人以上、顧客数は600社以上に上る。社名のDataikuは「データ」と「俳句」から成る造語で、データを俳句のようにシンプルな構造かつスムーズな流れで捉えることを目指すという意味が込められている。
Dataikuが提供するAIプラットフォーム「Dataiku」は、データの収集や準備、可視化に加えて、機械学習モデルの作成やテスト、実装に至るまでの一連のプロセスをE2E(End to End)で支援し、より容易にAIによるデータの予測モデルを使える環境を提供する。データ分析の専門家だけでなく、現場の人材やビジネスの意思決定者でもデータ活用を容易に行えるようにするために、これらのプロセスをクリック操作だけで行えるようにしている点が特徴だ。簡単な操作で、収集したデータの詳細を確認し、作成した機械学習モデル同士を比較して最適なものを選び、ダッシュボード上でデータの分析結果を可視化する、といったことが可能になる。
「Dataiku」は国内企業ではカネカや味の素、山善、LIXILなどが導入している。国内ではグローバル展開する大企業が採用するケースが多く、特に製造業においては生産管理や品質管理などで使われている。この他、営業やマーケティング領域などでの活用も多いという。
例えばカネカでは、社員のデータ活用教育に積極的に取り組んでいた同社が、社員が使いやすいAIプラットフォームとして生産本部に導入し、その後全社に展開した。「Dataiku」を使うことで、品質予測モデルを活用した生産工程の生産性向上や、工場設備の稼働条件の最適化などに生かしているようだ。
作成した機械学習モデルはAPIを通じた他サービスなどと連携したり、Webアプリ化して社内で活用できるようにすることが可能だ。さらに、「Dataiku」はAIによるデータ活用に必要なガバナンス、セキュリティ対策も実装しているという。
Dataikuは企業や人々がより日常的にAI活用の恩恵を受けられる時代を目指し、「Everyday AI」というコンセプトを掲げている。Dataiku Japan カントリーマネージャーの佐藤豊氏は「AIモデルの活用は、実証実験の段階にとどまる国内企業はまだまだ多い」と指摘する。このため、「Dataiku」ではPythonやRなどのプログラミング言語を使わずに、機械学習モデルによる予測を可能にする仕組みを実装している。さらに、実証段階で終わらせずに本番環境でのAI活用を推進するため、作成した機械学習モデルの監視や再学習などを行いやすいAIOps環境も整備した。
Dataikuは今後のプロダクトの展開として、大規模言語モデル(LLM)などを利用することで、プロンプトエンジニアリングを通じて誰もがデータからインサイトを入手しやすい環境を提供することを目指すとしている。佐藤氏は「AI活用をよりポップなものにすることで、セキュリティやAI活用を実証段階から産業での本格運用の段階に進めることが私たちの目標だ」と説明した。
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