DIAMは、硫酸をダイヤモンド電極で電気分解した電解硫酸を用いたリサイクルテストで、炭素繊維強化プラスチックから繊維状の炭素繊維を分離し、取り出すことに成功した。
松尾産業は2023年8月21日、子会社のDIAMが電解硫酸を用いたリサイクルテストで、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を分離し、取り出すことに成功したと発表した。硫酸をダイヤモンド電極で電気分解した電解硫酸溶液にCFRPを浸漬電解すると、樹脂成分のみが溶解し、繊維状の炭素繊維が残ることが分かった。
ダイヤモンドにホウ素を添加し、導電性を付与したダイヤモンド電極は、電位窓が広く、従来方法では困難な物質の分解や合成を可能とする。
DIAMは政府から「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」の採択を受け、樹脂めっきを対象とした、ダイヤモンド電極による環境負荷の低い循環型電解硫酸生成システムの開発に取り組んでいた。このシステムが強い酸化力を持つ電解硫酸により金属や樹脂を分解できることから、同社はCFRPリサイクルに応用できると考えた。
軽くて強いCFRPは、航空機や自動車など幅広い用途で使用される。一方で、加熱しても溶けず、リサイクルが困難なため、使用済み廃材の多くが埋め立て処分されている。
DIAMは今後、自動車部品など用途ごとのCFRPテストを拡充し、ダイヤモンド電極を用いたCFRPリサイクル技術の確立を目指す。
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