サステナブルなモノづくりの実現

設計領域がカギを握る! 海外事例で学ぶサステナブルな製品開発アプローチメカ設計 イベントレポート(1/3 ページ)

PTCジャパンはWebセミナー「設計から始まるサステナビリティ 〜世界に学べ! 3D CADの最新事例〜」を開催し、設計開発領域におけるサステナビリティの取り組みや具体的なアプローチについて、海外の最新事例を交えて説明した。

» 2023年08月03日 07時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 PTCジャパンは2023年7月27日、Webセミナー「設計から始まるサステナビリティ 〜世界に学べ! 3D CADの最新事例〜」を開催し、設計開発領域におけるサステナビリティの取り組みや具体的なアプローチについて、海外の最新事例を交えて説明した。

 近年、環境規制への対応やESG(環境/社会/ガバナンス)への取り組み強化、環境に配慮した製品/企業に対する評価の高まりなどを受け、サステナブル(持続可能)なモノづくりの重要性がより一層増している。そうした状況の中、サステナブルなモノづくりの取り組みに対して、「対応しなければならないもの」という消極的な考えではなく、「大きなビジネスチャンス」と捉え、サステナブルな製品開発を実践し、具体的な成果に結び付けている企業もある。

近年、サステナブルなモノづくりの重要性がより一層増している 近年、サステナブルなモノづくりの重要性がより一層増している[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

 実は、こうした成果に結び付けている企業で共通するのが、設計開発領域における取り組みだ。「製品ライフサイクル全体における環境負荷の80%は、設計開発領域で決定される」といわれており、設計開発の早期段階から環境に配慮したサステナブルなモノづくりのアプローチが重要となってくる。

 同Webセミナーでは、設計開発領域のうち、「内製部品の開発(低炭素材、軽量化、製造性)」「購入部品の選定(低フットプリント)」「解析シミュレーション(最適化、実物試作レス)」「製品のモジュール化(再利用性、リサイクル)」「設計の効率化(期間短縮、人の移動減)」の5つにフォーカスし、PTCのソリューションを活用したユーザー事例を紹介した。

製品ライフサイクル全体における環境負荷の80%は、設計開発領域で決定される 製品ライフサイクル全体における環境負荷の80%は、設計開発領域で決定される[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

ジェネレーティブデザインで使用材料を10〜15%削減

 まず、内製部品の開発(低炭素材、軽量化、製造性)における取り組みとして、ディーゼルエンジンや発電機などを手掛ける米Cummins(以下、カミンズ)の事例を取り上げた。カミンズではサステナビリティ戦略を大きく打ち出しており、その一環として設計改革を実施。具体的には「DfS(Design for Sustainability/サステナビリティのための設計)」を実現するために、リリースフェーズごとにスコアカードを用いて、サステナビリティの達成度合いを数値化する制度をスタートさせた他、ジェネレーティブデザイン(Creo Generative Topology Optimization)を活用した部品の軽量化にも取り組んだ。

カミンズの取り組みについて カミンズの取り組みについて[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

 PTCジャパン ビジネスデベロップメントディレクターの芸林盾氏は「この取り組みにより、カミンズでは材料使用量を平均10〜15%削減することに成功した。また、フロントエンジンマウントに関しては、ジェネレーティブデザインの適用によって23%もの軽量化を果たしている」と説明する。ちなみに、カミンズではジェネレーティブデザインを適用した部品の製造に関して、アディティブマニュファクチャリングではなく、従来と同じ鋳造で実施しているという。

 また、カミンズは設計改革の中で、最適化のエキスパート2人を採用するとともに、設計者自身がCAEを活用する設計者CAEの実践に向けた環境整備とトレーニングにも注力し、DfSの実践につなげているとのことだ。

カミンズが活用した「Creo Generative Topology Optimization」について カミンズが活用した「Creo Generative Topology Optimization」について[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン
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