本連載では、「加速するデータ共有圏(Data space):Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。
2023年4月のハノーバーメッセ2023ではGAIA-X、Catena-X(カテナX)などに代表されるデータ共有圏(Data space)に関して大きな発表があった。ポイントは下記の通りだ。
多くのセッションや発表されたソリューションにおいてGAIA-XやCatena-X、Manufacturing-Xなどに言及されており、ドイツ発/欧州発の製造業のデジタル化の動向がデータ共有圏を前提に置いたものへと変化しつつあることが分かる。
本連載では、「加速するデータ共有圏(Data space):Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、拙著「メタ産業革命〜メタバース×デジタルツインがビジネスを変える〜」(日経BP/2022年10月20日出版)の内容にも触れながら、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。
データ共有圏はData space(データスペース)とも呼ばれている。これまでのデータ共有や交換はプラットフォームを介しており、提供されたデータの活用やマネタイズについてはプラットフォーム側が実施するため、データ所有者は関与できなかった。一方で、現在欧州発で検討が進むデータ共有圏はコネクターと呼ばれるデータの出し手と受け手を直接つなぐ分散型の共有だ。
コネクターを活用しデータ所有者と利用者が直接データ共有を実施し、データ主権が担保され、データ所有者が「データを他者がどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定できる」という点がデータ共有圏の特徴だ。
データ共有圏の取り組みはあらゆる産業に広がっている。後述する自動車など製造業のみならず、建設、航空/宇宙、医療、スマートシティー、物流、教育、海洋、農業などあらゆる産業に拡大してきている。直近では生成AI(Generative AI)の流れを踏まえて、データ共有を通じて欧州発で大規模AI言語モデルを開発するための「Open-GPTデータスペース」などの取り組みも始まっている。
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