製造業の「データ共有圏」、2023年の最新動向と5つのポイント加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(1)(1/3 ページ)

本連載では、「加速するデータ共有圏(Data space):Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。

» 2023年07月11日 06時00分 公開

はじめに

 2023年4月のハノーバーメッセ2023ではGAIA-X、Catena-X(カテナX)などに代表されるデータ共有圏(Data space)に関して大きな発表があった。ポイントは下記の通りだ。

  1. Catena-Xと、そのサービス事業者であるCofinity-Xの本格始動
  2. Manufacturing-Xの本格始動
  3. Uranos-XやEuProGigantなど着々と進むデータ共有圏ユースケース
  4. データ共有圏の土台となるDigital Product PassportやAsset Administration Shell
  5. データ共有圏が実装された商材の展開

 多くのセッションや発表されたソリューションにおいてGAIA-XやCatena-X、Manufacturing-Xなどに言及されており、ドイツ発/欧州発の製造業のデジタル化の動向がデータ共有圏を前提に置いたものへと変化しつつあることが分かる。

 本連載では、「加速するデータ共有圏(Data space):Catena-XやManufacturing-Xなどの最新動向と日本への産業へのインパクト」をテーマとして、拙著「メタ産業革命〜メタバース×デジタルツインがビジネスを変える〜」(日経BP/2022年10月20日出版)の内容にも触れながら、データ共有圏の動向やインパクト、IDSA、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。

データ共有圏をおさらい

 データ共有圏はData space(データスペース)とも呼ばれている。これまでのデータ共有や交換はプラットフォームを介しており、提供されたデータの活用やマネタイズについてはプラットフォーム側が実施するため、データ所有者は関与できなかった。一方で、現在欧州発で検討が進むデータ共有圏はコネクターと呼ばれるデータの出し手と受け手を直接つなぐ分散型の共有だ。

 コネクターを活用しデータ所有者と利用者が直接データ共有を実施し、データ主権が担保され、データ所有者が「データを他者がどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定できる」という点がデータ共有圏の特徴だ。

図:プラットフォーム型データ共有と、欧州発データ共有圏の比較(筆者作成)[クリックで拡大]

あらゆる産業で生まれるユースケース

 データ共有圏の取り組みはあらゆる産業に広がっている。後述する自動車など製造業のみならず、建設、航空/宇宙、医療、スマートシティー、物流、教育、海洋、農業などあらゆる産業に拡大してきている。直近では生成AI(Generative AI)の流れを踏まえて、データ共有を通じて欧州発で大規模AI言語モデルを開発するための「Open-GPTデータスペース」などの取り組みも始まっている。

図:さまざまな産業で生まれるデータ共有圏一例(筆者作成)[クリックで拡大]
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