日産自動車も回復基調が続いている。4月のグローバル生産は、前年同月比15.8%増の24万20台と3カ月連続で増加した。中でも国内生産は、同100.7%増の6万387台と倍増し、12カ月連続で前年実績を上回った。輸出も同114.0%増と大幅増。「エクストレイル/ローグ」の好調に加えて、前年が半導体不足で低迷したことが理由だ。
海外生産は、前年同月比1.4%増の17万9633台と3カ月連続で前年実績を上回った。北米は新型車効果などもあり好調で、米国は同17.2%増と2カ月ぶりのプラス、メキシコは同7.3%増と5カ月連続で増加した。
中国も前年同月比14.5%増とプラスを確保。ただ、前年がロックダウンで半減しており、好調とは言い難い。新型「エクストレイル」の不調が響いている。なお、この台数は小型商用車(LCV)を手掛ける東風汽車(DFAC)の株式売却に合わせ、LCVを除いて前年比を比較したもの。日産の中国事業として前年実績にLCVを含むと同4.3%減となる。英国は「キャシュカイ」の好調により同23.0%増と好調が続いている。
半導体不足が続いているのがスズキだ。4月のグローバル生産は、前年同月比6.4%減の23万7541台と3カ月連続で減少した。特に海外生産での影響が大きく、同10.5%減の16万4226台と3カ月連続のマイナスだった。主要拠点のインドが同7.8%減と伸び悩んだことに加えて、パキスタンが外貨不足による輸入規制で大幅に減少したこともあり、インド以外の海外生産も同26.8%減と低迷した。
国内生産は、前年同月比4.3%増の7万3315台と2カ月連続で増加した。輸出は同25.3%減と落ち込んだものの、国内市場向けが伸びた。ただ、前年は中国のロックダウンによる部品供給難や半導体不足で、湖西工場(静岡県湖西市)、磐田工場(静岡県磐田市)、相良工場(静岡県牧之原市)で相次いで操業停止を実施したなど低水準の実績であり、好調とはいえない状況だ。
8社で最も低迷したのがダイハツだ。4月のグローバル生産台数は、前年同月比21.8%減の11万3956台と11カ月ぶりにマイナスへ転じた。特に落ち込みが目立ったのが海外生産で、同31.9%減の4万5260台と21カ月ぶりの前年割れとなった。これは海外拠点を置くインドネシアとマレーシアでイスラム教の断食後の休暇と重なり、数日間にわたり稼働を停止したことが響いた。国別ではインドネシアが同33.0%減、マレーシアも同30.3%減だった。
国内生産も振るわず、前年同月比13.3%減の6万8696台と2カ月ぶりのマイナスで、8社の国内生産では唯一の前年割れとなった。前年も中国からの部品供給難などにより本社(池田)工場(大阪府池田市)や滋賀(竜王)工場(滋賀県竜王町)、ダイハツ九州の工場(大分県中津市、福岡県久留米市)で相次ぎ稼働停止を実施して低水準だったが、さらに下回る格好となった。
これはトヨタ向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ルーミー」や「ライズ」などの新型車効果の反動減が一因で、登録車が同22.1%減と大きく減少。軽自動車も同9.0%減と低迷した。なお、ダイハツは足元でも、半導体不足による稼働停止が相次いでいる他、ロッキー/ライズのハイブリッド車(HEV)で発覚したポール側面衝突試験の認証手続き不正による生産調整などを実施しており、今後しばらくは減産傾向が続くことが予想される。
8社の中で最も高い伸びを示したのがマツダだ。4月のグローバル生産台数は、前年同月比121.1%増の10万3188台と倍増し、3カ月連続で前年実績を上回った。前年が中国のロックダウンによる部品供給が滞った反動増が表れた。主力の国内生産が同141.3%増の7万2745台と大きく伸長し、3カ月連続のプラス。8社で最大の伸び率となった。車種別では「CX-5」が同123.3%増、「マツダ3」が同212.5%増と主力車種がそろって回復したことに加えて、北米向けの新型SUV「CX-90」の6339台が純増となった。
海外生産も好調で、前年同月比84.2%増の3万443台と3カ月連続で前年実績を上回った。国内同様に8社で最も高い伸び率だった。メキシコは、前年に9日間の稼働停止を実施した反動で同183.9%増と大きく伸長。さらに前年1月から操業を始めた米国工場が稼働率向上により同89.9%増と増加し、北米トータルでは同157.5%増と11カ月連続のプラス。長らく低迷が続いていた中国も前年の反動増で同128.2%増と、14カ月ぶりにプラスへ転じた。
ただ、2021年との比較では約6割減、2020年と比べると約7割減という低水準であり、本格回復には程遠いのが実情だ。タイは、前年4月に日本市場向け「CX-3」の生産を開始したことに加えて、東南アジアでの販売低迷を踏まえて生産調整した結果、同20.2%減と13カ月ぶりに前年実績を下回った。
SUBARU(スバル)は、半導体供給の回復が台数に表れている。4月のグローバル生産台数は、前年同月比12.8%増の6万4446台と3カ月連続で増加した。依然として半導体不足の影響はあるものの、年々生産台数を増やしており、コロナ禍以降では最も高い水準となった。その結果、8社の順位でも三菱自動車を上回り7位につけた。
このうち主要拠点の国内生産は、前年同月比18.4%増の5万2364台と3カ月連続で増加。輸出も同14.6%増と3カ月連続のプラスだった。唯一の海外拠点である米国生産も同3.4%増の2万7461台と3カ月連続で増加した。
三菱自動車の4月のグローバル生産台数は、前年同月比20.6%増の6万4446台と2カ月連続の増加となった。2桁パーセント増を確保したが、前年実績が低迷していた反動によるもので、8社の順位ではスバルを下回り最下位だった。けん引したのが国内生産で、同46.2%増の3万3973台と5カ月連続で増加した。前年が半導体不足や中国からの部品供給難で落ち込んだ他、軽自動車EVの「eKクロスEV」および日産向けOEM「サクラ」の好調が貢献した。
海外生産は、前年同月比0.9%増の3万473台と微増で、2カ月連続のプラス。主要地域の東南アジアは、最大拠点を構えるタイが同26.5%増と伸長したものの、インドネシアが同12.5%減と低迷。さらに中国は、2022年12月に投入したばかりの新型「アウトランダー」が深刻な販売不振に陥る事態となっており、中国での生産を停止している。なお、三菱自は中国でのアウトランダー販売不振に伴い、2022年度決算に営業外費用で121億円、特別損失で105億円の計226億円を計上した。
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