4月の新車生産は2020年実績から大幅増、コロナ禍前には届かず自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

日系乗用車メーカー8社が発表した2021年4月のグローバル生産実績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で生産がストップした2020年4月に対する反動で、8社全ての国内および海外生産が前年実績を大幅に上回った。

» 2021年06月23日 06時00分 公開
[MONOist]

 日系乗用車メーカー8社が発表した2021年4月のグローバル生産実績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で生産がストップした2020年4月に対する反動で、8社全ての国内および海外生産が前年実績を大幅に上回った。自動車需要自体はコロナ禍からの回復傾向が続いているものの、世界的な半導体不足の影響が深刻で、コロナ禍前の2019年4月との比較では8社全てがグローバル生産で下回ったのが実情だ。加えて足元ではインドやマレーシアなどで変異株の流行によるロックダウンが実施されており、今後も不透明な状況が続きそうだ。

 8社合計のグローバル生産台数は前年同月比126.8%増の207万8285台と大きく伸長した。国内生産は同64.8%増、海外生産は同177.7%増と海外がけん引。特に主要市場である北米は、前年4月に各社が生産停止に追い込まれ、北米に生産拠点を構える5社の合計がわずか4台にとどまったことで急増した。欧州も前年4月に各国で一斉にロックダウンを実施した反動で大幅な伸びを示した。一方、COVID-19感染拡大からいち早く回復した中国は、前年4月が高水準だったため5社合計は同2.0%減と伸び悩んだ。

2021年4月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 267,605 493,854 164,822 140,920 761,459
22.7 206.7 - ▲ 1.5 100.9
ホンダ 65,794 348,738 122,276 171,149 414,532
23.9 118.5 - 12.3 94.8
日産 53,409 228,454 73,704 101,532 281,863
146.5 77.4 18425.0 ▲ 17.2 87.4
スズキ 82,809 183,241 - - 266,050
191.4 3173.3 - - 682.2
ダイハツ 82,477 57,483 - - 139,960
67.5 943.6 - - 155.6
マツダ 63,570 29,605 9,904 17,717 93,175
443.1 22.5 - ▲ 24.9 159.7
三菱自 35,120 42,796 - 6,212 77,916
127.1 125.2 - 26.9 126.1
スバル 28,977 14,353 14,353 - 43,330
94.3 - - - 190.6
合計 679,761 1,398,524 385,059 437,530 2,078,285
64.8 177.7 - ▲ 2.0 126.8
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の4月のグローバル生産台数は、前年同月比100.9%増の76万1459台と8カ月連続で増加した。中でも海外生産は同206.7%増の49万3854台と3倍に増え、8カ月連続のプラスとなった。地域別では、主力市場の北米は、米国で「ハイランダー」などライトトラックを中心に販売が好調で2カ月連続のプラスだ(前年実績が0台のため前年比は出していない)。アジアは、同40.6%増と8カ月連続の増加。前年がCOVID-19感染拡大により生産を絞ったタイ、インドネシア、ベトナムなどが大幅増となった。ただ、中国は既に前年4月が回復していたため、同1.5%減と2020年3月以来13カ月ぶりに前年実績を下回った。欧州も一部の国でロックダウンの影響を受けているものの、前年からの反動増により大幅なプラスとなった。

 トヨタの国内生産は、前年同月比22.7%増の26万7605台と2カ月連続のプラスだった。国内市場向け「ハリアー」「ヤリス」といった新型車の販売好調に加えて、前年4月がCOVID-19感染拡大で一部生産を停止していたのも増加要因となった。

ホンダ

 ホンダの4月のグローバル生産台数は、前年同月比94.8%増の41万4532台と4カ月ぶりのプラスとなった。海外生産は、同118.5%増の34万8738台と3カ月連続のプラス。前年が各国でのロックダウンで生産停止を余儀なくされた反動で2.2倍となった。主力市場の中国は、同12.3%増と11カ月連続で前年実績を上回るとともに4月の過去最高も更新し、日系大手3社では唯一のプラスとなった。その結果、アジアトータルでも同31.7%増と10カ月連続で増加し、過去最高も更新した。北米は、米国販売の好調に支えられ、2カ月連続のプラス(前年実績が0台のため前年比は出していない)。欧州も2カ月連続で増加した。

 国内生産も前年同月比23.9%増の6万5794台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。前年が需要減退に伴い生産調整を実施したことに対する反動増といえる。足元の国内販売は最量販車種の「N-BOX」が好調なほか、ニューモデルを投入した「ヴェゼル」などがけん引している。ただ、主力モデルの「フィット」の販売は2021年4月が同62.6%減、2021年5月も同71.9%減と急ブレーキがかかっている。大幅な前年割れは前年に新型車効果が発生していたのも要因だが、単月としての販売台数自体も少なく、車名別ランキングではヤリスや「ノート」といった他社のライバルに大きく水をあけられている状況だ。なお、輸出は欧州向けが低迷したため同26.9%減と伸び悩んだ。

日産

 日産自動車の4月のグローバル生産は、前年同月比87.4%増の28万1863台と5カ月連続で前年実績を上回った。このうち国内生産は同146.5%増の5万3409台と3カ月連続のプラスだった。2020年末に発売した国内市場の戦略モデルである新型「ノート」の好調に加えて、新型「ローグ」など輸出が同204.5%増と大きく伸長し、国内生産をけん引した。

 海外生産も好調で、前年同月比77.4%増の22万8454台と5カ月連続のプラスだ。前年が感染拡大による活動停止で4台のみだった北米は2カ月連続で増加した。ただ、最大市場の中国は前年がすでにCOVID-19感染拡大から回復していたため、同17.2%減と2020年9月以来7カ月ぶりの前年割れとなった。欧州は前年がロックダウンにより生産を停止したため前年比は出していない。

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