富士フイルムは、伸張する欧州の半導体市場に向けて、欧州の半導体材料工場の製造設備を増強する。
富士フイルムは2023年4月28日、電子材料事業をさらに拡大するために、欧州の半導体材料工場の製造設備を増強すると発表した。伸張する欧州の半導体市場に向けて、製品供給能力を強化する目的で、ベルギーの半導体材料工場に約45億円の設備投資を行う。
半導体材料の欧州現地法人であるFUJIFILM Electronic Materials Europe(本社:ベルギー・ズウェインドレヒト)が、半導体製造プロセスの基幹材料であるポリイミドやフォトリソ周辺材料など、最先端半導体材料の製造設備を増強する。
製造タンクや品質評価機器を導入し、ポリイミドや現像液、クリーナーなどのフォトリソ周辺材料といった最先端半導体材料の生産能力強化を図る。クリーンルームなども増設し、研究開発や品質保証を行う設備を拡張する。
半導体製造の前工程のみならず後工程でも需要が高まるポリイミドなどの新規開発を加速するとともに、品質保証体制をより強化する考えだ。さらに、工場敷地内に太陽光発電パネルを設置するなど、環境負荷の低減にも取り組む。いずれの設備も2025年に稼働させる予定だ。
富士フイルムは、フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、ポストCMPクリーナー、薄膜形成材、ポリイミドなど、半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料を展開している。イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとしたWave Control Mosaic(WCM)も扱う。
これらの幅広い製品だけでなく、グローバルな安定供給体制や高い研究開発力、顧客との強固な信頼関係を生かして、事業拡大を進めているという。今後も、最先端半導体材料の開発/提供を通じて、事業成長を図るとともに、半導体業界の発展に貢献していく。
半導体は、5G/6Gによる通信の高速/大容量化、自動運転の拡大、メタバースの普及などを背景に、年率約10%の市場成長と高性能化の進展が見込まれている。
こういった状況を踏まえて、富士フイルムは、電子材料事業をさらに拡大するため、積極的な設備投資を行っている。現在進行中の中期経営計画「VISION2023」(2021〜2023年度)では、電子材料事業の研究開発と設備増強で合わせて1100億円(3年間累計)の成長投資を計画。CMPスラリーの生産設備の導入(日本)やイメージセンサー用カラーフィルター材料の新工場の建設(韓国)などを決め、最先端半導体材料の生産能力の増強を進めている。
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