「AutoCAD 2024」提供開始、新機能と機械学習技術の活用で生産性向上に寄与CADニュース

オートデスクは、CADソフトウェア「AutoCAD」の最新バージョン「AutoCAD 2024」「AutoCAD Plus 2024」「AutoCAD Web」「AutoCAD 2024 for Mac」の提供開始を発表した。

» 2023年03月31日 09時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 オートデスクは2023年3月29日、CADソフトウェア「AutoCAD」の最新バージョン「AutoCAD 2024」「AutoCAD Plus 2024」「AutoCAD Web」「AutoCAD 2024 for Mac」の提供開始を発表した。同日から最新バージョンをダウンロードして利用できる。併せて、30日間無償体験版の提供も行っている。

「AutoCAD Plus 2024」の強化ポイント

 AutoCAD Plus(AutoCAD including specialized toolsets)は、標準仕様のAutoCADに、機械設計/電気設計/建築などの7つの業種別ツールセットと、自動化やコラボレーション機能などを追加した製品だ。

「アクティビティ インサイト」の利用イメージ 「アクティビティ インサイト」の利用イメージ[クリックで拡大] 出所:オートデスク

 最新バージョンのAutoCAD Plus 2024に含まれるAutoCADでは、生産性の向上に寄与する「アクティビティ インサイト」や「スマートブロック」などの機能が追加された他、機械学習(ML:Machine Learning)技術を用いた「マークアップ読み込み」や「マークアップ アシスト」機能も強化されている。

 アクティビティ インサイトは、複数の設計者によるコラボレーション作業における“情報ギャップ”を解消するための機能で、図面ファイルに対するイベントを常に把握できるようになる。設計者は、プロジェクトライフサイクル全体を通じて、DWGファイルにおける複数のユーザーアクティビティーの詳細にアクセスできるため、ローカルやクラウドサーバ上に保管される図面ファイルの利便性が向上する。

 スマートブロックに関しては、MLに基づく提案や最近使用したブロック、手動による代替ブロックの選択によって、必要なブロックを素早く見つけ、1つあるいは複数のブロックを自動で置き換える「スマートブロック置換」が追加された。また、DWGファイル内のブロック配置の状況を学習して、次のブロックの挿入時に配置位置を提案し、回転角度や尺度も調整してくれる「スマートブロック配置」も加わった。

「スマートブロック置換」の利用イメージ 「スマートブロック置換」の利用イメージ[クリックで拡大] 出所:オートデスク
「スマートブロック配置」の利用イメージ 「スマートブロック配置」の利用イメージ[クリックで拡大] 出所:オートデスク

 さらに、PDFファイルや出力した紙図面からフィードバックを読み込んで、変更を自動的に図面に反映してくれるマークアップ読み込みと、既存図面のテキストを更新し、対処済みのマークアップをフェード表示するマークアップ アシストが強化されている。ML技術を用いたこれらの機能強化により、設計者はデスクトップ、Webブラウザ、モバイルデバイスといったクロスプラットフォーム間で、図面を安全に共有し、確実に注記を設定できるようになる。

 なお、AutoCAD Plus 2024に含まれるAutoCADでは、MLを利用してマークアップテキスト内の特定の指示を検知し、「移動」「コピー」「削除」といったコマンドのショートカットが使えるという。

パフォーマンスも向上した「AutoCAD 2024」

 標準仕様のAutoCADは、2Dの作図とドキュメント作成に加え、3Dモデリング、ビジュアライゼーション、ワークフローの自動化機能などを提供する。

 最新バージョンのAutoCAD 2024では、2D/3Dの作図、設計ワークフローの効率化を促進し、CAD標準仕様の適用や、カスタマイズプログラムを用いた自動化などを図ることが可能だ。さらに、生産性を高め、作業時間の節約に寄与するスマートブロック配置機能が新たに搭載されている。

 AutoCAD 2024では、安定性や忠実性、パフォーマンスの向上を実現する新機能も搭載されており、「AutoCAD 2023」に比べてレイアウトタブ間の切り替えを最大9倍高速化。インストールに関しても、AutoCAD 2024はAutoCAD 2023と比較して最大2倍高速化しているという。

 AutoCAD 2024およびAutoCAD Plus 2024のサブスクリプションには、AutoCAD Webを構成するWeb版AutoCAD(AutoCAD Webアプリ)とモバイル版AutoCAD(AutoCAD モバイルアプリ)のアクセス権が含まれており、クロスプラットフォームでの利用が可能だ。例えば、現場でWebブラウザやモバイルデバイスから必要なCAD図面の作成、表示、編集、注釈付けなどが行える。

 さらに、AutoCAD Plus 2024のサブスクリプションには、Web版AutoCADでAutoCAD専用プログラミング言語「AutoLISP」を利用できる機能が含まれており、設計者はAutoLISPを利用してカスタマイズし、一連のコマンドをWeb版AutoCAD上で自動化することが可能だ。

待望のApple Mシリーズチップ対応を果たした「AutoCAD 2024 for Mac」

 AutoCAD for Macは、文字通りAppleの「macOS」上で動作するAutoCADだ。

 最新バージョンのAutoCAD 2024 for Macでは、新たにAppleのM1/M2チップ(Mシリーズチップ)をサポート。これにより、Intel CPU、Apple Mシリーズチップいずれの環境でも、AutoCAD for Macをネイティブに実行できるようになった。Apple Mシリーズチップに対応したことで、全体的なパフォーマンスが「AutoCAD 2023 for Mac」と比較して最大2倍向上するという。

 なお、AutoCAD 2024 for Macの利用には、AutoCAD 2024もしくはAutoCAD Plus 2024のサブスクリプション契約が必要となる。

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