オートデスクは、日本市場における「AutoCAD事業説明会」をオンラインで開催。販売開始から40周年を迎える「AutoCAD」の変遷と近年の動向、AutoCADユーザーの最新動向、「AutoCAD 2023」の注目機能、今後の方向性について説明した。
オートデスクは2022年10月13日、日本市場における「AutoCAD事業説明会」をオンラインで開催。販売開始から40周年を迎える「AutoCAD」の変遷と近年の動向、AutoCADユーザーの最新動向、「AutoCAD 2023」の注目機能、今後の方向性について説明した。
米Autodeskの創業と同じ1982年に販売を開始したAutoCADは、40年間、製造業/建設業を中心に広く利用され、設計ツールの定番としての地位を確立してきた。その間、同社が提供するツールやソリューションもBIM対応、クラウド連携、プラットフォームへと広がりを見せているが、「AutoCADもその歩みとともに進化し続けている」とオートデスク マーケティング本部 ディレクターの伊藤宏隆氏は語る。
そして、現在、深刻な人材不足や世界と比較した際の競争力の低下、コロナ禍で急務となっている柔軟な働き方への対応、国土交通省によるBIM/CIM原則適用といった“待ったなし”の課題に直面する日本市場に対し、「AutoCADはこれらの課題解決の糸口を提供できる」(伊藤氏)とする。例えば、AutoCADのカスタマイズ/自動化、業種別ツールセットを活用した生産性向上や、プラットフォーム/クラウドと連携したワークフローの構築、TrustedDWGテクノロジーによる安全性/信頼性の高いデータ活用などが実現可能となり、日本市場が直面する課題の解決に役立つという。
こうした期待の表れとして、2021年5月にはAutoCADの提供について戦略的見直しを図り、「AutoCAD LT」の提供価格(年額7万1500円[税込み])はそのままに、“生まれ変わったAutoCAD”として、7つの業種別ツールセットや一部クラウドを活用した新機能を除く、ほぼフル機能が利用できるAutoCADの提供を開始。併せて、業種別ツールセットに加え、マークアップ読み込み/マークアップアシスタント、AutoCAD Webアプリ用LISP API、自分のインサイト:マクロアドバイザなどの機能を、AutoCADに追加した「AutoCAD Plus(AutoCAD including specialized toolsets)」を提供する。
AutoCADの提供に関する戦略的な見直しの手応えについて、伊藤氏は「昨年(2021年)の発表以来、多くのユーザーが“生まれ変わったAutoCAD”へ積極的に移行している」と述べ、2D/3Dを併用したい、カスタマイズや自動化に取り組みたいといった日本の製造業/建設業のニーズにしっかりと応えられているとアピールする。
さらに、同社は柔軟な働き方、設計環境の在り方を実現すべく、AutoCADのマルチプラットフォーム対応にも注力しており、AutoCADのデスクトップ版(Windows/macOS)に加え、WebブラウザやモバイルアプリでAutoCADを操作できる環境も提供する。クロスプラットフォームライセンスを採用し、1つのサブスクリプション契約でWindowsでもmacOSでも、iOSなどのモバイルでも環境を使い分けてAutoCADを利用できるという。「AutoCADであれば、さまざまなプラットフォーム上で一貫した操作性を実現し、どこにいてもDWGファイルにアクセスして、設計業務を続けられる」(伊藤氏)。
2022年には、新たなAutoCADファミリー製品として、AutoCAD WebアプリとAutoCAD モバイルアプリのみ利用できる「AutoCAD Web」の提供も開始。年額1万3200円(税込み)/月額1100円(同)という低価格で、AutoCADの主要コマンドや基本的な作図機能などがWebブラウザやモバイルデバイスから利用可能になる。
また、AutoCADのデータをBIMで活用する動きも増えてきているとし、DWGファイルを「Inventor」や「Revit」などに読み込み、クラウドベースの建設ドキュメント管理ソフトウェア「Autodesk Docs」にアップロードするなど、統合BIMモデルへの入力や手作業の効率化に役立てられているという。
伊藤氏は「他の設計分野とのコラボレーションが非常に増えている中、AutoCADを中心とするTrustedDWGテクノロジーで支えられたエコシステムによって、他のオートデスク製品との便利な連携を実現している」と述べ、その具体例として「Navisworks」とAutoCADを連携させたユーザー企業による自動設計の取り組みなどを紹介した。
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