こうした活動を通じて、いよいよifLinkを活用して商用化を進める動きも徐々に進みつつある。
例えば、WDSでは、CO2濃度モニタリングサービス「ClosedBuster」を2021年5月に商用化した。ClosedBusterは、密閉空間で人の呼気から排出されるCO2の濃度を検知し、見える化するソリューションだ。ifLinkインタフェースを持ったCO2濃度センサーとタブレット端末のAndroidソフトがifLink上で動作することでソリューションを構築している。CO2センサーで5秒間隔で計測した結果は、Bluetoothでタブレットやスマートフォンに表示される。ifLinkを通じてさまざまなIoT機器との連携が可能で、換気扇と連携してCO2濃度の上昇に合わせて、自動で喚起を行ったり、エアコンと連携して、設定温度と合わせて自動で温度調整をしたりできる。このClosedBusterは不二家レストランなどでも採用されており、実際の店舗などでの利用が広がってきている。
また、PUZZLCEでは、キャンプ用テントを地面に固定するペグをifLinkを使ってIoT化し盗難を防止する盗難抑制ペグの商用化に取り組んでいる。「ここまでの3年間の活動の中で『IoTを活用することで何ができるか』という実証が数多く進んでおり、アイデアを形にするところまでは進んできた。今後はこれらをビジネス化し、商用サービスとして成立させられるようにすることが重要だ」と岡田氏は語る。
IoTは実証までは進んでも本格ビジネスとしての導入が難しく“PoC死”などという言葉が広がるような状況だが、岡田氏は乗り越えるポイントとして「エコシステムをいかに動かすか」ということを訴える。
「IoTはさまざまな環境で最適なデータ活用を実現するために、それぞれの現場で最適な使いこなしは変わってくるが、ifLinkによりとにかく簡単に動くところまで持っていけることから、実証までのスピードは各段に高めることができる。ただ、商用化を本当に進めるためには、費用対効果を含めたビジネス価値や堅牢性や耐久性など、クリアすべきポイントも実証段階とは変化する。これらの課題を1つずつつぶしていくことが重要だ」と岡田氏は語っている。
これらエコシステムを効果的に動かしていくために、見えている課題を3年間かけて徐々に解決してきた。「この3年間の取り組みの中で、モバイルデバイスの対応OSを、AndroidだけでなくiOSにも対応できるようにした他、対応デバイスも600種類まで増やすことができた。デバイスの開発負荷は大きく引き下げられたと考えている。商用化の土台作りが進んだ3年間だったと捉えている。これらの土台を生かして、2023年度は商用化を一気に加速させたい」と岡田氏は抱負を語っている。
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