自動車業界からifLinkオープンコミュニティに参加して活動するのがデンソーだ。異業種からクルマに関するIFとTHENをつのってコネクテッドカーの開発に生かそうとしている。デンソー コネクテッドシステム事業推進部 コネクテッドシステム開発室 担当次長の安保正敏(あぼう まさとし)氏に、コミュニティでの取り組みや成果を聞いた。
東芝と東芝デジタルソリューションズが発起人となり、誰もが簡単にIoT(モノのインターネット)を使えることを目指して立ち上げた「ifLinkオープンコミュニティ」。ifLinkは東芝デジタルソリューションズが独自開発したIoTプラットフォームで、「ドアが開いたら(IF)、ライトが光る(THEN)」といったようなIF-THEN型の設定により、機器を連携したサービスを構築できる。ITの専門知識を持たないユーザーでも活用できることを意識した。
ifLinkオープンコミュニティに自動車業界から参加して活動するのが、デンソーだ。
異業種からクルマに関するIFとTHENをつのってコネクテッドカーの開発に生かそうとしている。デンソー コネクテッドシステム事業推進部 コネクテッドシステム開発室 担当次長の安保正敏(あぼう まさとし)氏に、コミュニティでの取り組みや成果を聞いた。
MONOist どのような経緯で「ifLinkオープンコミュニティ」に参加しましたか。
安保氏 2019年8月に東芝からデンソーの上層部に「こういうコミュニティを作る構想がある」とお誘いがありました。私はカーナビゲーションシステムの開発に30年間携わっていて、スマートフォンとカーナビを連携させる「NaviCon」の開発責任者も務めたので、つながるハブとなるifLinkに興味を持ちそうだと上層部が判断し、上層部から私に声がかかりました。NaviConがつなげられるのはスマートフォンとカーナビだけでしたし、目的地を送るという単純な機能に限られていました。クルマといろいろなデバイスをつなげてみたいと思っていたので、ifLinkに魅力を感じて参加に至りました。
安保氏 また、オープンなIoTのコンソーシアムは国内外で見ても珍しいと思います。特にハードウェアが自由に連携する仕組みはありませんので、ifLinkがデファクトスタンダードとなり、その世界観が実現できるのであれば、最初から参加した方がいいと考えました。
クルマとスマートフォンがつなげられるのは当たり前になりました。今後もスマートフォンを使ったいろいろな機能が当たり前になっていきます。その中でデファクトのオープンなIoTがあるならば、その規格とクルマが連携するのは当たり前ですし、当たり前の機能を当たり前に使えるように準備していかなければなりません。そのときに、クルマと安全かつ確実につながるIoT連携をいち早く築いて自動車メーカーに提案していく上で、ifLinkがビジネス的に有利に働く部分もあればと考えています。
MONOist クルマとIoTでサービスを考えていくにあたって、デンソーとしてはどのような危機感がありますか。
安保氏 カーシェアリングやフリートといった自動車が中心のサービスや使い方であれば、サービサーや自動車メーカーと具体的に詰めることができます。しかし、クルマが動く空間となる時代の新しい使い方に関して、1つずつのサービスにデンソーだけでは対応できないと感じています。社会のニーズを理解し、サービスに取り込んでいく上でもオープンな連携が必要です。
社会のニーズや、クルマをどのように使っていきたいかということについて、デンソーだけでは分からない、想像できない部分があるので、われわれが知らなかった使い方を知りたいと考えています。そのために、クルマのデータや制御についてオープンにし、使い方やIoTでクルマと何をつなげるかについてアイデアをもらえる環境を利用して今までにないものを作り上げていきたいです。
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