IoTの民主化を目指すifLinkオープンコミュニティは2021年2月25日〜3月4日にかけて、コミュニティーの活動成果を披露する「ifLink Open Community 2021 Winter Festival」を開催した。最終日には2021年度以降のifLinkの展開についても発表があった。
IoT(モノのインターネット)の民主化を目指すifLinkオープンコミュニティは2021年2月25日〜3月4日にかけて、コミュニティーの活動成果を披露する「ifLink Open Community 2021 Winter Festival」を開催した。最終日の3月4日は「フィナーレDay」として、ifLinkで開発したIoTサービスの中から優秀作を発表した他、2021年度以降のifLinkの展開についても発表した。
ifLinkは「誰もがカンタンにIoTを使える世界」の実現を目指して東芝デジタルソリューションズが開発したIoTプラットフォームである。「IF-THEN」形式の設定だけで、人感センサーやGPSトラッカーなどのifLink対応モジュールとさまざまなデバイスやWebサービスを連携させて、IoTサービスを気軽に素早く開発できる点が特徴だ。
ifLinkオープンコミュニティは現在、業界を問わず100以上の企業や教育機関が参加している。コミュニティー内では、運営事務局メンバーとして参加する企業(「プレミアム会員」)のお題を基にifLinkでIoTサービスを試作する「ビストロifLink」や、企業や団体の垣根を越えて特定テーマに基づいた活動を行う“部活”などを行っている。
フィナーレDayではプレミアム会員がifLinkオープンコミュニティでの年間の活動成果や、新たなIoTサービスの構想などを発表した。
例えばKDDIは、同社が国内展開を支援しているAR(拡張現実)スマートグラス「NrealLight」とifLinkを連携させた各種ソリューションを提案した。NrealLightと歩数計を連携することで、装着者の1日当たりの運動量を計測し(IF)、目安に対して運動量が不足している場合は運動を促す通知をスマートグラス上に表示する(THEN)といった使い方ができる。この他、GPS情報と連携することで特定のレストランに接近すると(IF)、その店の距離情報などを表示する(THEN)といった仕組みも作れると紹介した。
東芝ライテックによるビーコンを使用した流通倉庫内でのピッキング業務改善サービスの発表もあった。
ビーコンを持つピッキング作業者が倉庫内を歩くと、天井付近にある受信センサーが反応して、天井照明を点灯させて目的地まで誘導する。目的地の付近に到達すると、作業者のスマートフォンにその旨が通知されるため、目的の荷物を効率よくピッキングできるという。
今後の目標について、ifLinkオープンコミュニティでディレクターを務める吉本武弘氏は「ifLinkの普及と実用化に向けて、プラットフォームやコミュニティーの拡大に向けた施策を順次展開していく」と意気込みを見せた。
まず、2021年5月をめどにAndroidスマートフォン向けアプリプラットフォームの「Google Play」上でifLinkをβ版として一般公開し、続けてiOS版やLinux版を順次公開する。並行する形でifLinkの対応モジュールやIoTレシピの拡充、UI(ユーザーインタフェース)の強化を進めるという。
同年10月には、IoTレシピやifLinkに関わるさまざまなアイデアを、一般利用者が自由に投稿、共有できる「ifLinkデザインシンキングプラットフォーム」を開設する予定だ。プラットフォーム上では、投稿されたIoTレシピを基に試作、改良、あるいは事業化を見据えたビジネスモデルの構築や量産化の提案など、さまざまな活動が可能になるという。
同時に、ifLinkを通じたIoT関連の教育施策も推進していく予定だ。吉本氏は「IF-THEN形式のifLinkは、自分の考えるIoTサービスをノンプログラミングですぐに形にできる点が特徴だ」と説明する。このため、地域や自治体に存在する身近な課題を発見して、解決のためのIoTレシピをifLinkで作成するなどの活動を通じて、アイデアを発想して作る楽しさを感じてもらいやすいとする。既に、大学教育で導入した事例もあるようだ。
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