フジクラは、世界初だという核融合炉の実証に取り組む米国企業のCommonwealth Fusion Systemsに対し、レアアース系高温超電導線材の本格納入を開始した。同線材を納入することで、核融合発電に必要な超電導電磁石の小型化が可能となる。
フジクラは2023年2月28日、世界初だという核融合炉の実証に取り組む米国企業のCommonwealth Fusion Systems(CFS)に対し、レアアース系高温超電導線材の本格納入を開始したと発表した。
レアアース系高温超電導線材は、テープ状の金属基板上に、中間層を介してレアアースなどからなる酸化物超電導材料を結晶成長させながら、成膜した超電導線材。フジクラが開発した同線材は、CFSが開発する、高温超電導を用いた核融合実証炉で求められる高い電流特性と高強度を備える。同線材の導入により、核融合発電に必要な超電導電磁石を従来よりも小型化できる。
核融合は、質量が小さな原子の原子核同士が融合する過程で膨大なエネルギーが発生する反応で、燃料1gで石油8tを燃やした時と同等のエネルギーを生み出せるという。
核融合発電は、従来の発電方式と比較してCO2を排出せず、安全性に優れている。また、その資源は海水中に豊富に存在する。そのため、エネルギー問題や環境問題の根本的な解決に資する発電技術として期待されている。
フジクラは、高温超電導の発見以来、研究を重ね、現在では国内外に高性能で均一なレアアース系高温超電導線材を提供している。今回の本格納入を機に、同線材の生産能力を増強し、レアアース系高温超電導の存在感を高めるとともに、カーボンニュートラル社会の構築に向けて、さまざまな次世代超電導機器に貢献していく。
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