2022年11月にリリースされたシミュレーション機能はメイン機能として「CAEシミュレーション機能」を搭載している。CAEシミュレーション機能は「検証」と「最適化」の2機能で構成される。
検証では造形するパーツの強度と剛性のシミュレーションが行える。最適化では、自動的にプリントパラメーターを設定し、3Dプリンタで高いパフォーマンスを達成しつつ、造形時間の短縮と素材使用量の軽減を実現する。これにより、実造形でパラメーターを確認する作業を減らせ、仕様通りのパーツを作りやすい。
「CAEシミュレーション機能を利用しているユーザーの90%は、パーツの造形、試験、再造形の反復サイクルを削減した。全体の50%は、造形時間の短縮と素材の節約を達成しているだけでなく、パーツの造形スピード効率を改善している」(タグ氏)。
CAEシミュレーション機能を使用することで、長繊維カーボンファイバーを付加して3Dプリントした場合のパーツの強度と剛性の予測も可能になったという。なお、この機能は2023年4月までは無料で使用可能だが、それ以降は有償サブスクリプションとして提供される予定だ。
インスペクション機能は、「Configure(コンフィガー)」「Scan(スキャン)」「Inspect(インスぺクト)」「Report(レポート)」から成る。Configureでは3Dスキャンの解像度を定義し、Scanでは3Dプリンタのプリントヘッドに搭載されているレーザーマイクバロメーターにより、造形中にリアルタイムに位置や寸法、外部と内部の形状を測れる。
InspectではスキャンデータとCADデータの形状フィーチャーを比べられ、Reportではカスタマイズに対応したスキャン検査報告書をダウンロードできる。
同社では、3DプリンタのユーザーがAPIを介して、ERP(企業資源計画)に加えて、MES(製造実行システム)、PLM(製品ライフサイクル管理)などの製造ITシステムとEigerを接続/連携/統合して、さまざまな場所で工業部品を製造できるようにすることを推奨している。
これにより、Eigerに入力した情報をERPやMES、PLMに反映でき、在庫管理と製品ライフサイクルで必要なインプット作業を効率的に行える。同社ではこういった生産体制を「分散型モノづくり」と呼称している。
タグ氏は、「今後は、ネットワークでつなげた複数台の3Dプリンタから取得したデータをAI(人工知能)で分析し、3Dプリンタの状態を把握する。これにより、能動的な保守と点検をサポートしていく。また、3Dプリンタが、造形中にミスを感知した際に、指定のメールアドレスにアラートを送信する仕組みの実装も予定している」と展望を語った。
同社のセキュリティに関しては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO27001認証」を取得している。米国の軍需運用システムのセキュリティガイドラインが想定している防衛環境に対応するOS(オペレーティングシステム)を採用し、第三者機関によるコンプライアンスの検査と監査も定期的に実施しているという。
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