米Markforgedの日本法人であるマークフォージド・ジャパンは、東京都内で事業戦略説明会を開催。Markforged 社長兼CEOのシャイ・テレム氏と、2021年12月にMarkforgedの日本統括責任者に就任し、2022年5月12日付でマークフォージド・ジャパン 代表取締役社長となったトーマス・パン氏が登壇し、同社のビジネスと日本市場における戦略について説明した。
米Markforgedの日本法人であるマークフォージド・ジャパンは2022年5月24日、東京都内で事業戦略説明会を開催。Markforged 社長兼CEO(最高経営責任者)のShai Terem(シャイ・テレム)氏と、2021年12月にMarkforgedの日本統括責任者に就任し、2022年5月12日付でマークフォージド・ジャパン 代表取締役社長となったThomas Pang(トーマス・パン)氏が登壇し、同社のビジネスと日本市場における戦略について説明した。
冒頭、テレム氏は同社のビジョンについて、「Markforgedは“分散型モノづくり(Distributed Manufacturing)”で世界を変えようとしている。そのために、遠隔で安心して使える、小さなデジタルファクトリーを3Dプリンタで実現することを目指す。また、高品質なモノづくりを可能にすることで、産業領域のビジネスに貢献したいと考えている」と説明する。
さらに、3Dプリンタ業界における同社の競合優位性として、ソフトウェア技術を起源とした企業である点を挙げ、3Dプリンタに組み込まれた複数のセンサーでパーツをリアルタイムに自動計測/評価し、品質や精度を繰り返し向上させることが可能なAI(人工知能)機能搭載システム「Blacksmith」を紹介。Blacksmithは、同社のプラットフォームエンジンとして位置付けられる「Eiger」から利用可能な機能で、ソフトウェア/材料/3Dプリンタを結ぶ「Digital Forge」と呼ばれるクラウドとAIを活用したアディティブマニュファクチャリング(AM:Additive Manufacturing)のためのプラットフォームを実現する上で重要な役割を果たすものだ。
「われわれは、ミッションクリティカルな領域を含め、さまざまな産業領域に対して高付加価値な製品を作ることを支援する。このとき強みを発揮するのが、当社の独自技術である連続ファイバー強化(CFR:Continuous Fiber Reinforcement)プロセスだ。試作品のみならず治具やパーツを含む最終製品の製造での利用をメインターゲットとしている。また、サプライチェーンリスクに対する解決策として、当社のAMプラットフォームが有効活用できると考えている」(テレム氏)
連続ファイバー強化技術の強みを生かした高付加価値の提供に関しては、金属パーツからの置き換えが挙げられる。同社の連続ファイバー強化技術は補強用長繊維材料を連続的にパーツ内部に敷き詰めながら積層造形を行うことで、金属以上の非常に高い強度対重量比が得られる点が特徴である。例えば、「切削加工で約500米ドルかかっていた金属パーツの製造を、Markforgedの3Dプリンタに置き換えたところ約12米ドルで製造できたという実績もある」(テレム氏)。
現在、Markforgedの3DプリンタはFA/ロボティクス、航空機、軍需、宇宙開発、自動車、医療などさまざまな産業で採用されており、世界約1万2000社で活用されているという。事業戦略説明会では導入事例の1つとして、デンマークの風力発電機メーカーVestasによるダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM:Direct Digital Manufacturing)の取り組みを紹介した。
さらに、将来の成長に向けては「製品群の拡充を加速」「業務遂行のレベルアップ」「M&A」の3つのポイントを掲げる。「製品群の拡充を加速」に関しては、従来2〜3年程度かかっていた新製品開発のペースを、毎年のように新製品を発表できる体制を構築していくことを目指す。「業務遂行のレベルアップ」については販路の拡充や最適化、ブランディングの強化に取り組むとしている。また、「M&A」に関しては短期的な売上増を狙ったものではなく、技術力の強化につながるような統合、買収を検討していくという。
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