米国の3DプリンタメーカーMarkforgedの日本法人であるマークフォージド・ジャパンは、同社が推奨する「分散型モノづくり」の中核ソリューションとして、アディティブ製造プラットフォーム「Eiger」を展開している。
マークフォージド・ジャパンは2023年3月1日、東京都内で「最新AM統合ソフトウェアプラットフォーム説明会」を開き、同社のアディティブ製造(AM)プラットフォーム「Eiger(アイガー)」を紹介した。
アディティブ製造とは、3D CADデータや3Dプリンタなどを用いて、切削加工や部品の組み立てを経ずに目的とするモノ(パーツや完成品)を直接作り出す手法を指す。
アディティブ製造の理想的なワークフローは、ユーザーのニーズに基づく仕様の設定、仕様をベースに設計、金属粉末や樹脂フィラメントなどの原材料の用意、仮想空間上でプリントをシミュレート(スライス)、3Dプリンタでプリント、出力物の測定と検査、最終製品の完成の順に行われると、Markforged ソフトウェアプロダクト統括ディレクター タグ・ケニック氏と話す。
「しかし、要求を満たすような造形を行おうとしても、3Dプリントにおける成形や素材配置のミスが判明したり、測定と検査で寸法の誤差が分かり設計の見直しを行ったりなど、手戻りも多い」(タグ氏)。
こういった問題を解決するのがEigerの基本機能や「ユーザー・マネジメント機能」「シミュレーション機能」「インスペクション機能」だという。
Eigerは、Webブラウザ上で操作可能な同社製金属3Dプリンタ向けのプラットフォーム製品で、設計データをCADデータに変換し、カーボン繊維と金属で強化された複合パーツなどを3Dプリンタで出力できる。プラットフォーム上でパーツの設定を細かく設定して最終製品を最適化することにも対応している。作成したCADデータは、プラットフォーム上の安全なライブラリーに残せ、プリンティングしたい時に使える。
オンラインでソフトウェアを最新版に更新するOTA(Over The Air)技術も採用しているため、最新のバージョンに自動で更新されるだけでなく、システムに異常がないかのメンテナンスも自動で行われる。
ユーザー・マネジメント機能では、認証情報の規格「SAML(Security Assertion Markup Language)」を用いたシングルサインオンを実現しており、一度のログインで複数のシステムを使えるようにしている。
RBAC(Role Based Access Control)にも対応しているため、従業員ごとにシステム上で行えることを制御できる。CADデータのパラメーターを最適にする流れをまとめた「バッチワークフロー」と構築したさまざまなシミュレーションパターンをプリセットすることにも応じており、優れたパラメーターのコントロールとシミュレーションをさまざまなCADデータに利用しやすい。
「これにより、従業員を増やした場合や3Dプリンタを増設した時に、過去のパラメーターコントロールとシミュレーションを従業員に共有しやすいだけでなく、導入した3Dプリンタで活用して、生産能力を容易に拡張できる。造形したパーツの個数や3Dプリンタの稼働率、ユーザーの使用頻度、損益分岐点を見られる機能も備えており、生産上の問題点を分析しやすい」(タグ氏)。
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