荏原製作所は、世界的な水素市場拡大の流れに対応するため、水素発電向け液体水素昇圧ポンプを開発した。水素発電向け液体水素昇圧ポンプの開発は世界初だという。
荏原製作所は2023年2月24日、世界的な水素市場拡大の流れに対応するため、水素発電向け液体水素昇圧ポンプの開発に成功したと発表した。
同社は2019年に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、水素発電ガスタービンへの水素供給に必要となる液体水素昇圧ポンプの開発をスタートした。液体水素昇圧ポンプを使用して、2022年10月にJAXA能代ロケット実験場(秋田県能代市)で液体水素による実液試験(-253℃)を実施し、大流量昇圧ポンプの設計に資する良好な試験結果を得た。
なお、海外から海上輸送された液体水素を水素発電に使用する場合、国内の貯蔵タンクに保有した後、タンクから払い出して水素ガスタービンに供給する際に、昇圧ポンプが必要となる。しかし、-253℃の液体水素を扱える大容量かつ発電用に高圧化したポンプは、技術的な難易度が高いため、現在は市場に存在していないという。
そこで、同社は、強みを持つ高圧遠心ポンプと極低温の技術をベースに、世界初の液体水素燃料供給用ポンプとして、2023年に市場投入を予定している。2022年の7月末にNEDOの報告会で開発進捗中間発表も行った。
今後は、水素発電向け液体水素昇圧ポンプだけでなく、液化水素貯蔵タンクから水素発電ガスタービンまで、極低温の次世代燃料を移送および昇圧する同社の技術で、水素社会をつなぐ役割を担っていく。
IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が2022年に発表した資料によれば、2050年に世界のエネルギー貿易額の10%以上が水素になると予測されている。また、世界の水素ビジネス市場は200兆円以上に拡大するとの予測もあり、世界中の国や企業がその取り組みを推進している。
こういった状況を踏まえて、同社は、2021年8月に社長直轄の事業化プロジェクト(コーポレートプロジェクト)として、水素関連事業プロジェクトを発足した。
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