三菱電機は「冷媒漏えい箇所特定技術」を開発し、2023年7月にモデルチェンジして発売するR463A-J/R410A兼用コンデンシングユニット「ECOV DUAL(エコブイデュアル)」シリーズに実装する。
食料品や飲料品などを陳列するスーパーマーケットなどに設置されたショーケースの多くは、ケース内を冷やすために別置きの業務用コンデンシングユニット(冷凍機)が使用されている。
別置きの冷凍機は、1台で複数のケースを冷却可能な他、冷凍機内蔵のショーケースよりランニングコストが低く、音や熱を店外に放出できるため、店舗内に悪影響を及ぼさない。その一方で、別置き冷凍機の場合、取り付けられた配管にピンホールが生じ冷媒が漏れると、メンテナンス会社のスタッフが修理のためにピンホールを探す作業で多くの時間と手間がかかるという課題があった。
そこで、三菱電機は「冷媒漏えい箇所特定技術」を開発し、2023年7月にモデルチェンジして発売するR463A-J/R410A兼用コンデンシングユニット「ECOV DUAL(エコブイデュアル)」シリーズの「一体空冷式(10〜45馬力)」と「リモート空冷式(10〜45馬力)」に実装する。
同社は、「スーパーマーケット・トレードショー2023」(2023年2月15〜17日、幕張メッセ)に出展し、冷媒漏えい箇所特定技術とECOV DUALシリーズの一体空冷式を披露した。
冷媒漏えい箇所特定技術は、UVライトに反応する蛍光剤のユニットを対象の冷凍機に搭載することで、冷凍機の配管で生じたピンホールなどから冷媒が漏れた際に、蛍光剤も漏れ出すようにする。これにより、ピンホールがある部分をUVライトで照らすと青く発光し、冷媒漏えい箇所の特定で必要な作業時間の短縮を実現する他、冷媒漏えい量の削減と早期復旧が行えるようになる。
三菱電機 空調冷熱システム事業部 副事業部長 兼 空調冷熱計画部長の北西靖志氏は、「今回の技術は、蛍光剤ユニットが冷媒とともに冷凍機を循環する冷凍機油に蛍光剤を混ぜることで、配管でピンホールが発生した時に、蛍光剤が漏れ出す。安全性を確認した上で、冷凍機油に蛍光剤を混合し冷媒漏えい箇所を特定する技術をリリースするのは当社が国内初だ」と説明した。
続けて、「これまで冷媒が漏えいした箇所を特定する際には、冷凍機油が垂れてにじんでいる部分を探したり、専用の検知器を活用しおおよその漏えい箇所を見つけた後、せっけん水をかけて泡の発生箇所からピンホールを探したりなど、かなり大変だった」と苦労を語った。
三菱電機では、コンデンシングユニットに遠隔監視接続用デバイスを装着することで、冷媒の漏えい有無をチェックし、結果をクラウド上に保存して、専用Webサイトで確かめられるサービス「MEL(メル)く〜るLINK(リンク)」も提供している。MELく〜るLINKでは、冷媒の漏えい時にあらかじめ登録されたメールアドレスにメールで知らせるだけでなく、専用のWebサイトで履歴も確認できる。
ECOV DUALシリーズは、空調機などで利用されている一般的な冷媒のR410Aと環境に優しく次世代の冷媒として注目されているR463A-Jに対応している。R463A-Jは、GWP(地球温暖化係数)が1483と低い低毒性/不燃性のA1冷媒で、R410A(GWPは2090)と比べGWPが低く、特性も近い。
現状は、R463A-Jと比べR410Aが安価なため使用されるケースが多いが、フロン排出抑制法により、コンデンシングユニットおよび定着式冷凍冷蔵ユニットの目標値は2025年までに生産平均でGWP1500以下としなければならないため、今後はR463A-Jの普及が予測されている。北西氏は「両冷媒に対応したECOV DUALシリーズはそういった意味で長期間の利用に適している」と将来性についても言及した。
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