実際に、どのようにして低次元化モデリングを行うのかについて考える。図4に低次元化モデリングの手順を示す。まず、モデリング対象を観察し、機能および構造面から理解する。次に、現象面からそこで発生しているもろもろの物理現象を理解し、定式化する。現象の定式化に当たって、図2に示したように必要とする特性を低次元化モデリングの手法で求める。最後に、要素間の関係を考慮してモデリングが完成する。
ドライヤーを例に図4の手順を考えてみる。図5にドライヤーを構造および機能面で理解した結果を示す。それぞれの構造で機能が異なるため、機能の種類によって、機構構造、流体、熱、電気に分類している。
図5の結果を基に、ドライヤーで発生している現象および要素相互の関係を示したのが図6である。
ここでは図6のうち、伝熱系に着目して低次元モデリングを行う。その際、必要となるのは、ヒーターとファン流による熱交換、すなわち対流熱伝達の際の熱コンダクタンス、ヒーターから筐体内表面への輻射による熱コンダクタンス、筐体を通して外部に放熱される際の熱伝導に伴う熱コンダクタンスの3種類である。
この際、図2に示した3種類の方法から適切な方法を選択する。一般には、熱伝達による熱コンダクタンスは実験から、輻射による熱コンダクタンスは理論から、熱伝導による熱コンダクタンスは3D-CAEから求めることが多い。図7にドライヤーの伝熱系の低次元化モデリングの例を示す。
より具体的な事例として、図8に宇宙構造物(参考文献[1])の低次元化モデリングの例を示す。これは大型回転機械の振動絶縁機構を3D-CAEおよび実験結果を基に1Dに低次元化したものである。図に示すように、実際にはかなり複雑な構造物であるが、最終的には6軸方向の剛性に置き換えている(連成項は小さいものとして無視している)。
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