排出要素とその構成を有するG-BOMと販売/生産計画を掛け合わせることで、企業の活動/プロセスやサプライチェーン上のホットスポットが浮き彫りになる。
これによりGHG排出量目標に対し、手を打つべき排出量削減テーマの特定と優先度付けが可能だ。単純に排出量の総量や実績を振り返るよりはるかに実効性の高いものになり得る。
製造/販売における製品ミックスによる削減検討は、月次の需給計画に反映することも可能である一方、設備投資や調達/ソーシング戦略は半期や年次レベルの意思決定になるであろう。また、製造技術の革新などは、数カ年の投資案件となることもある。
このように、個々のGHG削減アクションの計画/判断のサイクルがまちまちであるため、このサステナブルプランニングは四半期や半期など長中期のサイクルで回すこととなる。そのプロセスの中でGHG予算とのギャップを経営側や関係部門と認識を合わせたうえで、ギャップ解消のためのアクションの検討や策定を行う。また、次年度のGHG予算を立てるためにも現在の実力値をフィードバックしていく必要がある。
一方で、GHG削減のために利益を度外視しては元も子もない。本業である利益と両にらみで削減の施策を検討する必要がある。そのためには、企業の事業や資産に対するGHG排出量を何らかの形で評価する指標を導入することも重要になってくる。排出単位量当たりの利益、売り上げや、サプライチェーン資産に対する排出量という指標などがそれに当たる。
このサステナブルプランニングの取り組み方や、予実管理の在り方は先行事例も少なく、一部先進企業で試行錯誤が始まったばかりである。次回からは、サステナブルプランニングなど、GHG排出量管理の実現に向けた現状の課題やそのアプローチについて述べていく。
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