設備投資計画は、その経済的効果が長期間にわたって実現するような固定資産に関する投資計画を意味します。「生まれの良い設備」を生み出すためには、改善計画の中から改善の真の目的を明確化し、設備計画段階での条件整備や情報収集を行って、総合的な判断による「効率的な設備計画」の立案が必要です。この「効率的な設備計画」をIE的な観点からまとめたステップを図2にまとめました。
設備計画をおおまかに分けると、“当初から設備を必要とする人手作業が不可能な作業”もしくは“手作業あるいは半自動レベルを改善するため自動化を行う作業”の2つに分類され、いずれも上記のステップで計画を進めることが「効率的な設備計画」につながります。しかし、特に後者の場合、手作業の方法をそのまま設備に置き換えるのではなく、組立順序、基準面、部品精度などを設備に適した方法に変換することが「生まれの良い設備」を生み出すポイントです。
設備投資計画は、一般的に内外の需要動向、他社の動向、金利の動向、収益水準、人手不足などの企業環境を巡る変化に対処するために、長期の戦略計画をベースに行います。投資の経済的な効果は、収益の拡大に効果を持つものか、あるいは原価低減に効果を期待するものかのいずれかです。収益拡大は追加投資が中心で、それには生産/販売設備の拡張投資や新製品の改良や開発投資などがあげられます。また、原価低減は既存設備の取替え投資が中心で、作業の機械化のための合理化や省力化投資などが挙げられます。
新規の設備導入前に、生産する製品をどのように加工、組み付け、検査を行っていくかなどの生産工程の設計が必要となります。生産する製品によって使用する設備は異なります。また、加工順序や組立順序によっても治工具の設計にも影響を及ぼします。
工程設計の計画は、発生する不具合の原因を予測し、それを予防する処置を生産設備に付加したり、治工具などでそれを補完したり、考えられる範囲の問題を解消した生産設備の製作仕様を決定していく必要があります。
次に、選定された設備によって加工や組付けされる製品の品質を保証するために、生産工程内で製品の特定カ所を検査し、それぞれの生産工程で品質を保証する「自工程完結の品質保証体制」を確立する方向で検討しなければなりません。そのためには、組織全体の品質マネジメントシステムから、製品の企画、設計、アフターサービスに至るまでの各ステップで、それぞれの組織がどのような役割で品質保証に携わるかを図式化した “品質保証体系図”“QA表”“QC工程表”などを細かく作成し、品質の作り込みを行っていきます。
以上のように、設備計画プロセスの前段階で製品を製造する工程設計が確実に行われる必要があります。この作業は生産技術だけでなく、製造や品質保証などの各部門が協力して実施することで、迅速な設備計画プロセスヘの移行や設備保全プロセスヘの展開がスムーズに行われる結果へとつながっていきます。
新規設備の導入部門では、設備導入計画書を作成して導入目的、予想効果、設備の概要などを明確にしなければなりません。この計画が以降の設備導入だけではなく、現場での運用にも大きく影響しますので、導入部門に全てを任せるのではなく、保全部門や製造部などで積極的に意見を出して作成していく必要があります。“あなた作る人”“私使う人”ではいけません。機械設備を製作するときから関係する部門全体で積極的に参加しなければ、生まれの良い設備を製作することは不可能なのです。このように各部門が連携することによって、下記の内容が部門間で共有できるようになります。
このような内容は、設備導入を担当する技術者では分からないことが多く、あらかじめ現場の声を伝えておくことによって運用段階での問題点を未然に防ぐことができます。現場での意見や要望も踏まえて、設備導入計画書を作成します。この計画書には、導入の目的や予想効果、投資金額と回収期間、対象製品、部品や工程名、設備の概要や特徴、設備の構成、導入時期などを記入します。
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