2025〜2027年の第2フェーズでは、新しいハイブリッドシステムを導入するとともに、電動化が先行する中国市場において第2フェーズ後半でEV専用車を導入する。また、グローバルでEVの導入を開始する。これに向けて、新たなバッテリー調達先としてエンビジョンAESCと合意した他、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金で採択されたプロジェクトなどを通じたバッテリー技術開発の強化に取り組む。
エンビジョンAESCからの調達は、今後予想される電池の供給逼迫に備えて調達先を多様化する目的がある。同社の電池の安全面での高い実績が決め手となった。現時点で決まっているのはフェーズ2の一部までの調達であり、その先の調達については段階的に作戦を練っていくという。
電池を最高効率で使い切る制御技術、電池や電動駆動技術の手の内化、マツダらしい価値の開発などを重視する。並行して内燃機関のさらなる改善も続ける。カーボンニュートラル燃料の普及に備えてエンジンを効率化するためだ。
2028〜2030年の第3フェーズでは、EV専用モデルの本格導入を進めるとともに、電池生産への投資などを予定している。
電動化の進展と地域経済の持続的な発展を両立するため、中国地域で電動化技術を育成し、サプライチェーン全体を進化させることを目指す。このため、今仙電機製作所やオンド、中央化成品、広島アルミニウム工業、ヒロテック、富田電機、ロームと協業してeAxleを開発する。EV専用モデルの展開に合わせて搭載できるよう、開発を急ぐ。
オンド、広島アルミニウム工業、ヒロテックとは、電動ユニットの高効率な生産技術の開発や、既存の資産を最大限活用した供給体制の確立に取り組む共同出資会社「MHHO Electric Drive」を設立した。出資比率はオンド、広島アルミニウム工業、ヒロテックが30%ずつ、マツダが10%だ。地元の取引先と電動ユニットを生産できる体制を構築し、深化させることで中国地域の産業や雇用を守る。現状では内燃機関にかかわる取引先が多いが、内燃機関と電動ユニットの並行生産から、電動化への業態転換を促進する。
今仙電機製作所やロームとは、SiCパワー半導体の活用も含めてインバーターの共同開発を行う。インバーターの開発、基板の実装など生産技術に関しては、今仙電機製作所と折半出資で設立した会社「Mazda Imasen Electric Drive」で行う。
モーターに関しては、富田電機と先行技術を共同開発する。また、中央化成品や富田電機とともにモーター技術を学び、育成する合弁会社「MCF Electric Drive」を設立した。出資比率はマツダが50%、富田電機が40%、中央化成品が10%となる。
交通事故対策や人材育成に関する方針も示した。2040年をめどに、マツダの新車が原因で、自動車技術で対策可能な死亡事故をゼロにすることを目指す。人間の研究に力を入れ、人体や脳のメカニズムへの理解を深め、モデル化することで高度な運転支援技術の開発を加速させる。
また、AI(人工知能)やITを扱うデジタル人材への投資を強化する。デジタルリテラシーの向上により、業務プロセスのモデル化により2030年までに生産性を倍増し、捻出したリソースを付加価値が高い業務に振り向ける。
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