大排気量の新開発ディーゼルエンジンで、マツダは「電動化の移行期」に打って出る電動化(1/3 ページ)

マツダは2022年4月7日、新世代ラージ商品群の第1弾となるクロスオーバーSUV「CX-60」の日本仕様を公開した。日本では2022年秋に発売予定だ。価格や販売目標について現時点では公開しなかったが、パワートレインは4種類設定し、既存モデルの「CX-5」の乗り換えから上質さを志向する新規ユーザーまで幅広くカバーする。

» 2022年04月08日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 マツダは2022年4月7日、新世代ラージ商品群の第1弾となるクロスオーバーSUV「CX-60」の日本仕様を公開した。日本では2022年秋に発売予定だ。価格や販売目標について現時点では公開しなかったが、パワートレインは4種類設定し、既存モデルの「CX-5」の乗り換えから上質さを志向する新規ユーザーまで幅広くカバーする。

 注目は、新世代ラージ商品群向けに新規に開発した排気量3.3l(リットル)の直列6気筒ディーゼルエンジンだ。また、マツダ初となるプラグインハイブリッドシステムも設定される。

「CX-60」の日本仕様を公開した。外観(左)とインテリア(右)[クリックで拡大] 出所:マツダ

マツダの新世代ラージ商品群とは

 CX-60の他にマツダが新世代ラージ商品群として投入を発表しているのは、「CX-70」「CX-80」「CX-90」からなるクロスオーバーSUVのラインアップだ。CX-60とCX-80は道路や駐車場が比較的狭い欧州と日本に、CX-70とCX-90は車両サイズの大きさや存在感が求められる北米などに展開する。

 新世代ラージ商品群のパワートレインは、ガソリンとディーゼルの直列6気筒エンジン、トルクコンバーターレスの8速AT、直列4気筒のガソリンエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステム、電源電圧が48Vのマイルドハイブリッドシステムなどを用意している。北米にはターボチャージャー搭載の直列6気筒ガソリンエンジンも投入予定だ。

 2022年前半には、ロータリーエンジンを発電機として使用する電動パワートレインを導入する他、2025年ごろからは新開発のEV(電気自動車)専用プラットフォームの商品群も発売する。これらの技術の中から地域のニーズや規制に合わせて搭載する(ストロングハイブリッドシステムのニーズには、トヨタ自動車からシステムの供給を受けるなどして対応する)。

 電動車のラインアップを強化するのは自動車メーカー各社に共通する戦略だ。しかし、エンジンの新規開発を中止し、エンジン車の販売終了時期についてアナウンスする企業もある中で、多気筒で大排気量の新開発エンジンを搭載するマツダの方針はかなり珍しい。

 マツダは現在が「カーボンニュートラル達成に向けた電動化の移行期」であると位置付ける。「EVが増えていく中で克服すべき課題が多いため、エンジンの役割も残る時期だ。バイオディーゼルなどカーボンニュートラルな燃料も現実的な選択肢として十分考えられる。移行期の今、重要なのは使用エネルギーをいかに節約できるかだ」(マツダ 専務執行役員の廣瀬一郎氏)。使用エネルギーを節約できればエンジンもカーボンニュートラルに資するという考えだ。

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