大排気量の新開発ディーゼルエンジンで、マツダは「電動化の移行期」に打って出る電動化(3/3 ページ)

» 2022年04月08日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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「自分の手足のように動くクルマ」へ深掘り

 新世代ラージ商品群の核となる縦置きアーキテクチャは、「人間中心」の開発を深掘りして、パワーがありサイズの大きなクルマでもドライバーの手足のように思い通りに動くことにこだわった。運転が好きな人だけでなく、運転に不安のある人でも、自分自身の手足の延長のように自信をもって運転できることを目指した。そのために必要となったのは、操作に対してクルマの反応がシンクロすること、クルマの反応が正確に感じ取れることの2つだという。

意のままに動かすための考え方(左)。それを踏まえたサスペンションの設計(右)[クリックで拡大] 出所:マツダ

 例えば、カーブを曲がるときにドライバーの操作に対してクルマの反応がシンクロするには、ドライバーがハンドルを切り、フロントタイヤからリアタイヤへ力が伝わり、曲がる力が生まれてキャビンが動くまでの力の伝達を滑らかにする必要がある。

 新世代ラージ商品群の縦置きアーキテクチャでは、重量物を重心に集約して慣性マスを小さくし、遅れなく曲がるようにした。また、力の伝達の下流になるほど剛性を高めた。シンクロ感が持続するには、路面の荒れなどの外乱に対しても姿勢が安定しなければならない。

 その対策として、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにフルマルチリンク式のサスペンションを採用した。サスペンションの作動軸を前後でそろえることで、スムーズにストロークし、曲がる力に対してシンプルな動きで追従するようにした。さらに、コーナリング時にロールを軽減しながら車体を引き下げて旋回姿勢を安定させる技術「キネマティックポスチャーコントロール」の効果を最大化するようサスペンションを設計した。サスペンション上部にはアルミダイカストを採用した。ボディーへの音と振動を反射し、静粛性を高める。

 クルマの反応をドライバーが感じ取れるようにするため、シートやエンジン音にもこだわった。シートから背中を押される感覚やエンジンサウンドなどの情報が一体となってドライバーに伝えることで、自分の手足のように一体となって動いている感覚を実現するという。

 さらに、縦置きアーキテクチャによって理想的な前後重量配分としたことや、後輪駆動ベースのAWDシステムを採用することも動的性能の向上につながる。

 廣瀬氏は「人間中心のクルマ作りには、機械の研究だけでなく人間の研究も必要だ。マツダはその両方を長年やってきた。それを両立して届けていくというのは、(自動車に新規参入する企業にはない)老舗の自動車メーカーならではの提供価値だと考えている」と述べた。


 CX-60の車両サイズは全長4740×全幅1890×全高1685mm、ホイールベースが2870mmとなる。全幅の大きさが目立つが、CX-5の初代モデルよりも全幅は小さくとどめており、最小回転半径も同様に小さく抑えた。サイズを感じさせない取り回しのよさも意識したという。また、CX-60ではドライバーの発作や急病などの異常を検知して事故の回避や被害軽減を支援する「ドライバー異常時対応システム」を初採用する。

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