GEアディティブは「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8〜13日、東京ビッグサイト)において、同社の金属3Dプリンタを用いた航空機部品などを多数展示した。
GEアディティブは「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8〜13日、東京ビッグサイト)のAM(Additive Manufacturing、積層造形)エリアにおいて、同社の金属3Dプリンタを用いて製作した航空機部品などを多数展示した。
GEアディティブは航空機エンジンメーカー、GEアビエーションの傘下にある。GEアビエーションは2012年にモリステクノロジーズ、2016年にレーザーパウダーベッド方式のドイツのConcept Laser、電子ビームパウダーベッド方式のスウェーデンのArcam、金属粉末材料を扱うカナダのAP&Cなどの買収を経て2016年にGEアディティブを設立した。自社の航空機エンジンに搭載する部品を作る金属3Dプリンタを開発、さらに外販する体制になっている。
ブースに展示されていたジェットエンジン「LEAP」の燃焼ノズルは、「GEがAMに数千億円規模で投資するきっかけになった部品」(GEアディティブ)だ。レーザーパウダーベッド方式の「M2Series5」を使用している。
圧縮した空気に燃料を噴射するという過酷な使用環境の中で、排出規制への対応と耐久性の向上を達成するため、内部構造をもっと複雑にする必要があり、若手エンジニアの議論の末に積層造形にたどり着いた。金属3Dプリンタを所有していたモリステクノロジーズに製作を依頼、初めて仕様基準を満たすことができ、これがモリステクノロジーズの買収につながった。
もともと20個の部品で構成されていた燃料ノズルが、積層造形による1つの構造体に置き換わることで耐久性は5倍に向上した。「既存部品を製造方法をAMに置き替えただけならコストが圧倒的に高くなる。ただ、コンポーネントレベルで考えると、20個の部品のサプライチェーン全体を維持するより、AMを用いて1社で作った方が安い」(GEアディティブ)。
また、プロペラエンジン「GE Catalyst」で使用されているギアボックスも展示した。使用機材はレーザーパウダーベッド方式の「M Line」で、金属3Dプリンタを活用することにより800個以上あった部品はわずか12個になり、5%の軽量化、20%の燃費向上にも結び付いたという。
チタンアルミナイド(TiAl)を使った低圧タービン翼も出品。使用機材は電子ビームパウダーベッド方式の「Spectra H」で製作した。ジェットエンジン「GE9X」には低圧タービンや燃料ノズルなど、合わせて約300点の金属3Dプリンタで作られた部品が使用されている。「従来は部品によっては材料を20使ったうちの19は削って捨てなくてはいけなかった。それがAMにすることで3対1になった。今は2対1を実現しようとしている」(GEアディティブ)
同社のバインダージェット方式の金属3Dプリンタによる、自動車の油圧マニホールドやコネクティングロッドも展示した。バインダージェット方式は、敷き詰めた金属の粉末にノズルから液体の結合材(バインダー)を噴射して固形化し、熱処理を加えて造形する。GEアディティブは早ければ2023年には同方式の「Series 3」の市場投入を予定している。「自動車業界向けに、生産性を高めることで1つの部品あたりのコストを鋳造部品並みにすることが開発目標」(GEアディティブ)。
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