OKIは2022年10月12日、東京都内およびオンラインで「OKI Innovation World 2022」を開催し、リアル会場では製造現場などでの品質管理を担保するAI行為判定システムなどを展示した。
OKIは2022年10月12日、東京都内およびオンラインでプライベートイベント「OKI Innovation World 2022」を開催し、リアル会場では製造現場などでの品質管理を担保するAI行為判定システムなどを展示した。
AI行為判定システムは映像解析技術を用いて作業内容、作業手順を認識し、作業者の行為の正しさをリアルタイムに判定、通知する。
工場には、部品の組み付けやねじ締めなどの順番を厳密に決めている製造現場もある。順番が異なると製品にたわみなどが生じる恐れがあり、品質に影響するためだ。ただ、作業後に行う完成品検査では順番まではチェックできない。
AI行為判定システムでは、OKIのAIエッジコンピュータ「AE2100」を活用し、行為判定を特徴抽出、作業識別、行為判定という3つのモジュールに分割することで、共通化とカスタイマイズ性を確保した。まず作業映像から作業識別に必要な特徴量を抽出し、次に特徴量を基に作業者が行っている作業を識別、作業識別結果から正しい手順を踏んでいるかを判定する。
OKI本庄工場(埼玉県本庄市)で構内PHSの組立工程の一部に試験導入し、作業者が構内PHSのカバーにエアブローの風を当ててごみを取り除いているかの確認に使用している。外部では、自動車関連企業の工場で検証を行っているという。
会場のデモンストレーションでは、説明員が左右の手に持ったPHSのカバーをそれぞれ1秒以上エアブローに当てるとOKが、片方のカバーをエアブローに当てずに作業終了ボタンを押すとNGが表示された。これらのデータは保存も可能で、
新しい研究開発やイノベーションへの取り組みを紹介するOKI Innovation Worldは2020年からスタートした。過去2回はオンラインのみだったが、今回初めてリアル会場を加えた形で開催された。
OKI 代表取締役社長 最高執行責任者(COO)の森孝広氏は就任後初めての同イベント出席となり、オープニングトークでは平安時代の僧、最澄の言葉である「一燈照隅、万燈照国」(1つの灯火では隅しか照らせないが、それが万になると国中を照らすことができる)を通して「不確実性が増し、社会不安が漂う中で、まさに光を放つ言葉であり、イノベーションに当てはまる言葉だ。人が集まって知識を出し合うことがイノベーションの本質であり、みなさまとの共創活動がイノベーションを生み出す原動力といっても過言ではない」と思いを語った。
OKIでは全員参加型のイノベーションを掲げており、現在ではイノベーションマネジメントシステム(IMS)の国際規格ISO 56002に沿ってさまざまな取り組みを実践、2018年度から始まったビジネスアイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」では累計500程のアイデアが誕生した。
森氏は「ただ、事業化の検討が進んでいるのはごく一部。実践モードへのモードチェンジを呼びかけている。アイデアは生まれる土壌があるので、仮説立てからビジネス化までをいかに短くし、高速回転させるか。それらの意識改革と体制づくりを進めており、次の中期経営計画にも盛り込んでいきたい」(森氏)と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.