リチウムイオンキャパシタを劣化した鉛蓄電池に並列接続すると、アクセルをベタ踏みする必要はあるものの、警報音が鳴ることもなく安定して急な坂を登りきる。駆動用バッテリーの劣化を感じることなく車両を使うことができた。
また、走行中の電流の変化をみると、リチウムイオンキャパシタが登り坂での出力をアシストするとともに、下り坂でのエネルギー回生による鉛蓄電池への充電を穏やかにし、鉛蓄電池への負荷を軽減していることが分かる。リチウムイオンキャパシタによる負荷軽減の効果は、駆動用バッテリーが劣化した状態での延命だけでなく、新車時からでも得られる。
コムスのバッテリー載せ替え費用は20〜30万円で、購入後3年ほどでバッテリー交換が必要になるほど劣化してしまうことも少なくないという。そのため、長期にわたって使用することが難しい。試験車両には、リチウムイオンキャパシタ24個からなるモジュール1つを搭載したが、そのコストは「鉛蓄電池の載せ替え費用よりは安く抑えられる」(ジェイテクトの説明員)と見込んでいる。また、リチウムイオンキャパシタは長寿命なため、乗用車の一般的な使用期間であれば交換せずに使い続けることができるという。
ジェイテクトは社内で独自にリチウムイオンキャパシタの開発を進め、2017年に発表。2019年には同社 花園工場(愛知県岡崎市)で生産を始めた。
既存のリチウムイオンキャパシタは動作温度範囲が−20〜+60℃と高温でも低温でも制限があったが、ジェイテクトは動作温度範囲を−40〜+85℃に広げた。材料の組み合わせによって耐熱性を高めるとともに、電極を乾燥させる際の露点を下げることで低温環境での性能も確保した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.