目下取り組んでいるのが、UV接着の自動化だ。2022年度中の量産投入を予定している。
従来は製品の接着部品ごとに専用機材を準備して、特定の作業者が手動でUV接着剤を塗布し、硬化作業を行っていた。部品ごとに塗布量と塗布位置は異なるため熟練度が求められる他、多品種少量生産のため機種ごとにUV照射機材などが必要になっていた。そこで、各機種共通のUV接着自動機を開発して、品質の安定化や工数削減、コストの低減を図ろうとしている。
完成したUV接着自動機は、6軸の多関節ロボットで接着部品を把持し、接着塗布部に搬送して接着剤を塗布後、UV照射部に搬送して接着剤の硬化を行う。把持する保持治具のみを交換すれば他機種の部品でもUV塗布できるようになっており、塗布位置精度も高く、熟練度やコストの課題を解決した。
作業時間は半減した他、作業者はUV接着自動機にセッティングするだけで、機械が作業中は別の作業ができるようになった。当初は、UV接着剤を塗布する位置を計算するのに工数が掛かり開発は難航したが、3DCAD上でUV接着剤塗布作業を自動で計算する技術を開発し、工数を大幅に削減した。
また、分光測色計、色彩輝度計に搭載する積分球への硫酸バリウムの塗装作業や、最終検査として行われるタイル測定の自動化にも成功している。
コニカミノルタのセンシング事業はディスプレイなどそれ自身が光るものを測る「光源色計測」、それ自身は光らないものの色を測る「物体色計測」、自動車やスマートフォンなどの「外観計測」、人の目には見えないものを見分ける「HSI(Hyper Spectral Imaging)」の4つに分かれる。
光画像計測検査の市場規模は数兆円とも言われており、今後の事業展望についてコニカミノルタ 上席執行役員 センシング事業本部長の亀澤仁司氏は「成長が見込まれる領域を選択して注力する」と語る。
具体的にはバリューチェーンの深堀などを進める。ディスプレイや自動車のバリューチェーンの中で、検査などを自動化できていない領域がある。「この難しい課題を顧客密着とわれわれの技術で解決し、社会に貢献したい。HSIではリサイクルや食品なども手掛け始めているが、製薬業界も大きな狙いとして考えている」(亀澤氏)。
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