2022年下期の挽回生産へ、2022年6月は新車生産に回復の兆し自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)

» 2022年08月30日 06時30分 公開
[MONOist]
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スズキ

 スズキの2022年上期のグローバル生産台数は、前年同期比4.8%増の155万5350台と2年連続のプラスだった。8社の上期の世界生産では最も好調な実績だ。ただ、コロナ禍前の2019年上期との比較では3.4%減にとどまっている。このうち同社生産の6割超を占めるインドは、半導体不足の緩和や輸出向け生産の拡大などにより同10.7%増と2年連続のプラス。インドネシアやパキスタンなども伸長した結果、海外生産も同9.5%増の113万1415台と2年連続で増加した。

 一方、部品供給難の影響を受けたのが国内生産だ。2022年上期は、前年同期比6.1%減の42万3935台と2年ぶりに減少した。半導体不足に加えて中国からの部品供給が滞り、国内の主力拠点である湖西工場、相良工場、磐田工場などで相次ぐ稼働停止を余儀なくされた。

 スズキも部品供給の状況が改善に向かっている。6月単月の国内生産は、前年同月比28.2%増の7万9820台と2カ月連続で増加した。湖西工場で3日間の稼働停止を実施したが、国内生産全体としては大幅なプラスを確保した。一方で、海外生産は同9.9%減の17万6269台と3カ月ぶりに減少。インド生産が同12.8%減と振るわなかった。その結果、グローバル生産台数も同0.7%減の25万6089台と微減となり、2カ月ぶりに減少した。

マツダ

 2022年上期において8社の中で最も厳しい結果となったのがマツダだ。2022年上期のグローバル生産台数は、前年同期比18.3%減の49万2327台と2年ぶりに減少した。8社の中で最大の落ち込みとなり、7位の三菱自動車とはわずか2万台差で6位を保った。

 世界生産の3分の2以上を占める国内生産が厳しく、同20.7%減の33万1922台と2年ぶりのマイナス。8社で最大の減少幅だった。半導体不足や中国からの部品供給不足が響き、上期全ての月で前年割れとなった。2月以降は2桁%減で、4月には前年比半減以下まで落ち込んだ。

 海外生産も低迷した。2022年上期は前年同期比12.9%減の16万405台と4年連続で前年実績を下回った。国別では、中国が半導体不足やロックダウンの影響の他、「マツダ6」や「CX-4」の需要減退も重なり、同36.4%減と大幅な落ち込みを見せた。

 メキシコは半導体不足や、中国でのロックダウンや東南アジアからの部品供給不足により、上期通して計36日間の操業を停止したことで同9.6%減だった。ただ、米国で1月から稼働した新工場で新型車「CX-50」を9761台生産した結果、北米トータルでは同4.5%増とプラスを確保した。

 タイも上期で計14日間の稼働停止があったものの、グローバルでの生産拠点の調整により「マツダ2」や「CX-3」の生産が増加。同15.0%増と2桁%増を確保した。

 厳しい状況がしばらく続いていたマツダにも、ようやく回復の兆しが見え始めた。6月単月のグローバル生産台数は、前年同月比5.4%増の10万4245台と12カ月ぶりにプラスへ転じた。このうち国内生産は同1.3%増の7万3286台と12カ月ぶりに前年実績を上回った。車種別では「マツダ3」は同39.6%減と低迷したが、主力モデルの「CX-5」が同1.3%増、「CX-30」は同9.3%増を確保した。

 さらに好調なのが海外生産で、前年同月比16.5%増の3万959台と4カ月ぶりのプラス。けん引したのがタイで、半導体不足などによる3日間の稼働停止はあったものの、マツダ2やCX-3の増産により同40.6%増と大幅なプラスとなった。北米も同44.0%増と急伸。メキシコがマツダ3やCX-30の増加により同11.6%増と好調だったことに加えて、米国新工場の3635台が純増となった。一方、中国は半導体不足やロックダウンの影響、需要低迷により生産調整を実施しており、同20.0%減と厳しい状況が続いている。

三菱自動車

 三菱自の2022年上期のグローバル生産台数は、前年同期比8.8%減の46万9940台と2年ぶりにマイナスへ転じた。国内生産の落ち込みが目立ち、同11.8%減の19万7666台と2年ぶりに減少した。中国からの部品供給が滞ったことで稼働停止を余儀なくされた他、主力モデルの「eKスペース」および日産自動車向けにOEM供給する「ルークス」でエアバッグの不具合が発覚し、1月、2月と生産を停止したことが影響した。

 海外生産は、前年同期比6.4%減の27万2274台と2年ぶりに前年実績を下回った。中国がロックダウンなどの影響により同49.7%減と大幅に減少。主要地域の東南アジアも部品調達の問題に加えてコロナ禍からの反動増が一巡したこともあり、主力拠点のタイが同2.9%減、インドネシアも同3.1%減と伸び悩んだ。

 ここ数カ月の間、回復にブレーキがかかっていた三菱自だが、6月は好調に推移している。グローバル生産は、前年同月比10.5%増の8万2754台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。このうち国内生産は同10.6%増の3万5036台と2カ月連続のプラス。新型「アウトランダー」の好調や、eKスペースおよびルークスの出荷再開に加えて、期待の軽自動車タイプの新型電気自動車である「eKクロスEV」および日産「サクラ」の生産を5月に開始。発表当初から計画を上回る受注を獲得しており、国内生産の回復に貢献した。

 海外生産も、前年同月比10.3%増の4万7718台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。主力拠点のタイが同12.1%増、インドネシアが同33.8%増と大きく伸長したことが要因。一方、中国は同57.9%減と半減以下で振るわない。中国で生産する5社で最大の減少幅となった。

スバル

 環境の厳しい2022年上期において、辛うじてプラスを確保できたのがスバルだ。グローバル生産台数は、前年同期比0.9%増の38万2837台と2年連続で前年実績を上回った。このうち国内生産は同0.8%減の24万273台と2年ぶりのマイナス。半導体不足や2月に発生した宮城・福島沖地震によるサプライヤーからの部品供給が滞った影響で稼働停止を実施した。

 なお、国内では、排気量1.8l(リットル)エンジン「CB18」の不具合で4月から同エンジン搭載車の「レヴォーグ」「フォレスター」「アウトバック」を生産停止したが、輸出向けなどへ生産車種を切り替えたことで台数の確保につなげた。海外生産は同4.0%増の14万2564台と2年連続の前年超えとなった。半導体不足が続いているが、前年より影響は軽微だった。

 6月単月のグローバル生産台数は、前年同月比5.3%減の7万344台と2カ月連続の前年割れとなった。中でも海外生産の落ち込みが目立ち、同17.6%減の1万9549台と2カ月連続のマイナス。国内生産は同0.5%増の5万795台と微増で、3カ月連続のプラスだった。ただ、輸出は同7.0%減と伸び悩むなど、海外生産の急激な落ち込みも含めて、米国でのタマ不足は依然として改善していない様子が伺える。

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