ホンダロックの買収によって得られるメリットの1つが、ミネベアミツミのティア1サプライヤー事業としてホンダへの販路を切り開けることにある。「ユーシンはマツダとスズキを顧客に持ち、ミネベアミツミとしても日産自動車に製品を納入している。今回の買収で、ホンダへのプラチナチケットが得られた」(貝沼氏)という。
また、海外展開の観点では、ユーシンが欧州に拠点を有しているのに対して、ホンダロックは米国に製造と研究開発の拠点を展開しており、補完関係にある。ホンダロックの買収後は、欧州、米国、アジアの3拠点でグローバルの開発供給体制が確立できるとする。
取扱製品では、ユーシンとホンダロックで重複もあるが、ユーシンではラッチ、ホンダロックでは電子ミラーなどが今後の事業展開で成長を期待できるという。さらに、ミネベアミツミがこれまで手掛けてきたアンテナ製品やレゾルバ、二次電池冷却ファンなどをホンダ向けをはじめ新たな販売チャネルでの展開が可能になる。
ホンダロックの買収によってアクセス製品事業の売上高は単純合算で2391億円となる。2028年度の事業目標は、売上高3000億円、営業利益率10%となる。現時点でユーシン事業の業績が利益面で厳しいこともあり、営業利益率10%の達成はハードルが高く感じられるが「自動車の電子化が進む中で次世代製品の仕込みが進んでおり、ホンダロックの電子ミラーなども今後普及拡大が見込める。国内大手自動車メーカー各社に対してティア1サプライヤーとしての存在感を高めることで、十分に達成することは可能だと考えている」(貝沼氏)という。
なお、ミネベアミツミは東京拠点について、現在の三田東京本部(東京港区三田)を引き払って、新拠点に移転する方針だ。東京都港区東新橋のビルを732億円で購入し、名称は「ミネベアミツミ 東京クロステックガーデン」を予定している。入居は2023年3月となる見込みだ。
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