パンチ工業と函館地域産業振興財団は、金型用粉末合金の開発に関する共同研究契約を締結した。パンチ工業の「P-Bas」技術を活用し、プラスチック成形金型用の高機能な粉末合金を開発する。
パンチ工業は2022年6月28日、北海道立工業技術センターの運営管理を担当する函館地域産業振興財団と、金型用粉末合金の開発に関する共同研究契約の締結を発表した。同社の「P-Bas(Punch Bonding and sintering:ピーバス)」技術を活用し、プラスチック成形金型用の高機能な粉末合金を開発する。
同社が開発したP-Basは、分割して加工した複数の部品や素材を特殊な設備で加圧、加熱して一体化する。共同研究では、両者の技術や知見、技術者、多様な設備を用いて、焼結技術を活用し、粉末冶金法による高強度のプラスチック成形金型用の粉末合金を開発する。
プレス金型用に比べ、プラスチック金型に使う素材は耐摩耗性や高熱伝導率、ミガキ性、非磁性、防錆性、表面処理との相性など、さまざまな性能が成形製品ごとに複合して求められる。そのため両者はまず、プラスチック金型に用いる素材の開発に取り組む。開発する新素材は、パンチ工業が金型部品の素材に用いる他、ユーザーへの販売も予定している。
パンチ工業では、複雑な形状の冷却水管などを含む部品を分割して製作し、それらを接合することで機械加工による製作を可能とする技術開発を進めている。金属3Dプリンタによる製作に比べ、接合による部品製作は工数が少なく、材料費が安価で材質の選択肢が多い、製品強度が高いなどの利点がある。水管部を接合前に磨けるため、さびや不純物の発生、蓄積も起きにくい。
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