では、これらの課題解決に対して具体的にどう取り組んだらよいのでしょうか。まず、品質マネジメントの体系として「トヨタ式TQMの体系と管理上のポイント」を理解することが重要と考えています。
これは、「トップダウンによる方針管理」と「ボトムアップによる日常管理(QCサークル)」の両輪で成り立ちます。その考え方を理解することによって、組織的な品質強化につなげられるのです。
次に、製品開発(現行品、新製品)における管理のポイントとしては、QFD、故障モード影響解析(FMEA)、関数データ解析(FDA)、QC工程表の流れの効率化を図ることが重要です。これらにより製品開発プロセスの最適化が図れます。
その後の生産段階では、各製造工程の品質管理におけるリアルタイム解析と多角解析強化が求められます。そして、仕入先から製造工程を経て顧客までをつなげたサプライチェーンのトレーサビリティーの仕組みや、総合的設備管理(TPM:Total Productive Maintenance)との連携も品質強化のポイントとなります。
これからの時代、業務全般に関わるESGの要求事項に適合していくため、組織全般における業務の再設計が求められていますし、業務の効率化や迅速化、精度向上といった業務変革に対して、IoTやAI、デジタルツインなどの最新技術の活用が必須となっています。
これらの解決の方向性に対して、次回以降は次のようなテーマを設定して解説していきます(図3)。
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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