九州大学は、ひきこもり状況にある人の血液中の代謝物や脂質を測定し、ひきこもりに特徴的な血液バイオマーカーを発見した。また、機械学習アルゴリズムを作成し、ひきこもり者と健常者を高精度に識別した他、重症度予測にも成功した。
九州大学は2022年6月2日、ひきこもり状況にある人(ひきこもり者)の血液中の代謝物や脂質を測定し、ひきこもりに特徴的な血液バイオマーカーを発見したと発表した。また、血液成分と臨床検査値のデータから作成した機械学習アルゴリズムにより、ひきこもり者と健常者を高い精度で識別できた。
今回の研究では、九州大学病院のひきこもり研究外来において、未服薬のひきこもり者41人と健常者42人を対象に血液メタボローム解析を実施。その結果、ひきこもり者はオルニチンと長鎖アシルカルニチンが高く、ビリルビンとアルギニンが低いことが明らかになった。
中でも男性のひきこもり者は、血清アルギナーゼが有意に高い値を示した。このことから、血中のアルギナーゼ活性の増加は、男性のひきこもり者を特徴づける血液指標であることが示唆される。
次に、血液メタボロームと臨床検査値に基づいて、機械学習判別モデルを作成したところ、ひきこもり者と健常者を高精度に識別できた。ひきこもりの重症度についても、部分最小二乗法回帰モデルによって、高い精度で予測できた。
6カ月以上、自宅にとどまり続ける社会的ひきこもりは、日本発の社会現象として世界で認知されている。九州大学病院では、ひきこもり研究外来を世界で初めて立ち上げ、生物、心理、社会的理解に基づく支援を進めている。今回、ひきこもり者を特徴づけるバイオマーカーが明らかになったことで、栄養療法などの予防法、支援法の開発が進むことが期待される。
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