名古屋大学と愛知県三河青い鳥医療療育センターは、日本の小学校児童における歩行の基準値を初めて作成し、高学年は低学年よりも歩行がきれいであること、諸外国の子どもの歩行と動きが異なることを明らかにした。
名古屋大学は2022年6月1日、日本の小学校児童における歩行の基準値を初めて作成し、高学年は低学年よりも歩行がきれいであること、諸外国の子どもの歩行と動きが異なることを明らかにしたと発表した。愛知県三河青い鳥医療療育センターとの共同研究による成果だ。
今回の研究は、2018年1月〜2020年3月に、同療育センターで運動器健診のために岡崎市児童健診に参加した6〜12歳の小学校児童424人を対象に実施した。マーカーを骨盤からつま先まで貼付して8m歩行し、3次元動作解析装置を用いて解析。骨盤、股関節、膝関節、足関節、つま先の向きの動きを点数化して、歩くときの姿勢やその動きの特徴を示す歩容の得点を算出した。
歩行中の下肢の動きを年齢ごとに比較するため、6〜8歳、9〜10歳、11〜12歳の3グループに分けた。全体データから歩行の基準値となるデータを作成し、歩容の得点からパーセンタイル発育曲線を作成した。歩行中の下肢の動きは全年齢で似ていたが、年齢が上がるにつれて歩容の得点が高くなり、きれいに歩くことが明らかとなった。
諸外国のデータと比較すると、股関節の動きがわずかに内股だった。この動きは、高学年になっても大きな変化は見られなかった。高学年になると歩幅は短くなり、1分間あたりの歩数も増加することも示された。
歩行は日常生活において重要な行動であり、個人の健康状態を反映する。子どもの歩行を評価するためには年齢に応じた基準値が必要となるが、これまで国内では基準となるデータはなかった。今回作成した基準は、子どもの歩行状態を確認できるだけでなく、歩行障害の治療やリハビリテーションの効果判定に使用可能だ。
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