「業務プロセスの変革」では、製造業としてのモノづくり基盤強化を推進し、これらのノウハウの外部化を狙う。OKIグループで抱える国内外の拠点において「ポータビリティー(生産移行性)」「スマート工場」「システム統合」を推進し、これらのモノづくりプロセスにおけるノウハウを外部化していく。「バーチャルOne Factory」として複数の工場の生産能力をあたかも1つの工場であるかのように自由に組み替えられるような世界を目指している。
例えば、生産移行性を強化するためにリモート化への取り組みを進め、国内コックピットで海外工場の生産状況や品質状況の把握を進め、指導などを行う仕組みを構築。また、スマート工場化や変種変量に対応するためにロボットとの協働や、IoTデータとMESの連携の推進など、さまざまなモノづくりプロセスの変革を進めている。これらのノウハウを可能な領域でパッケージ化し外部展開する。2022年7月に稼働を予定する本庄工場新棟では、フラグシップ工場として新たなモノづくりプロセスを導入するという。
「新ソリューション創出」では、以前から取り組む「AIエッジ戦略」を強化する。OKIでは、2019年にエッジコンピューティングの専門端末であるAIエッジコンピュータ「AE2100」を発売し、エッジ領域で高度な情報処理を行えるようにすることで社会インフラの高度化を実現することを目指している。これに伴い、共創パートナー95社とともにさまざまな課題を抽出し、AIエッジパートナー119社とそれらの解決の形を探っているところだ。こうしたエコシステムにより、個社では解決が難しい複合的な社会課題解決につなげていく。
注力領域としては「交通」「防災」「建設/インフラ」「金融、流通」「製造」「海洋」などを挙げる。既に次世代交通として自動走行・安全運転支援サービスや交通量観測システム、遠隔管制塔システムなどで共創を進めている実績がある他、防災DXとしてインフラ構造物の災害対策や老朽化対策に向けた製品提供なども行っている。また、製造DXとして、外観異常判定システムなども提供している。
「既存ソリューション強化」では、フロントシフトとビジネスプロセスサービスの提供を進めていく。労働力不足などを背景とし、従来は小売店などでも対面接客や現金受け渡しを行うフロントヤードと、現金や商品の管理などを行うバックヤードが明確に分離されていたが、これらをフロント側で処理できるようにし、全体での作業効率向上を図る動きが増えている。これらのフロント化を実現する機器やサービス、DXの展開を強化する。例として挙げたのが、各種セミセルフ端末の展開だ。現金の受け渡しと一部で現金管理を一体化するセミセルフ端末をフロントヤードに拡大しこれらを支えるITシステムやオペレーションなどの仕組みを提供することで、バックヤードで行っていた処理業務をフロントで行うフロント化を推進する。
またビジネスプロセスサービスとしては、既に事業として成長しているEMS(Electronics Manufacturing Service)およびDMS(Development&Design Manufacturing Service)が代表的な例となる。自社の製造ノウハウを強みとし、顧客側のモノづくり工程の一部を担う。スマート保安ソリューションなど、同様のビジネスモデルを他の分野でも拡大していく。
坪井氏は「外部化を進めていくのに、重視しているのがアジャイル型のアプローチだ。機会の特定、コンセプトの創造、コンセプトの検証などの工程をアジャイルで進めていく。そのためには内部で秘密にせずに外に出していき、パートナーを募ってオープンイノベーションの形で進める必要がある。そのプロセスでビジネスモデル変革を進めていくのがOKIの戦略だ」と語っている。
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