OKIは2022年4月27日、本庄地区(埼玉県本庄市)の新工場「OKI本庄工場H1棟」の建設が完成し、竣工式を行った。新工場は大規模生産施設として国内初となる「ZEB(Net Zero Energy Building)」認定を取得した工場で、環境配慮を徹底していることに加えてIoT(モノのインターネット)などを活用したスマート工場のモデル工場とする。稼働は2022年6〜7月の予定としている。
OKIは2022年4月27日、本庄地区(埼玉県本庄市)の新工場「OKI本庄工場H1棟」の建設が完成し、竣工式を行った。新工場は大規模生産施設として国内初となる「ZEB(Net Zero Energy Building)」認定を取得した工場で、環境配慮を徹底していることに加えてIoT(モノのインターネット)などを活用したスマート工場のモデル工場とする。稼働は2022年6〜7月の予定としている。
OKIでは、「中期経営計画2022」で「モノづくり基盤強化」を掲げており、メーカーとして新たなモノづくりの在り方として「バーチャルOne Factory」の構築を目指している。OKIの工場では従来、事業内容ごとに個別でモノづくりを進めており、生産管理システムや設計に関するCADやPDMなどのシステム、その他のフローなども異なっており、それぞれの事業での製品を別の工場ですぐに作るということが難しい状況となっていた。これらのモノづくりの基盤を共通化し、工場でのモノづくりもIoTなどを活用したスマート工場化することで、受注情報や製造現場のリアルタイムの情報などを合わせてフレキシブルに変更できるようにする姿を描いている。複数の工場を“あたかも1つの工場”のように扱えるようにするというコンセプトだ。
OKI 社長執行役員 COOの森孝廣氏は新工場について「OKIがモノづくりの強化をどういう考え方で進めるのかを象徴する工場だ」とし、3つのポイントを強調した。1つ目は「バーチャルOne Factory」コンセプトを実現する製造現場としての位置付けだ。さまざまな変更に対応できるフロアレイアウトが行えるような構造とするなど、さまざまな製品を作れる形としている。
2つ目は、IoTやDX(デジタルトランスフォーメーション)を実践する場としての位置付けだ。「OKIが展開するDXソリューションのノウハウをつぎ込んだものとしている。生産拠点としてのノウハウと共に、こうしたソリューションを見せる場として活用する」(森氏)。
3つ目は、環境配慮の実践の場としての位置付けだ。新工場は外壁や屋根の高断熱化、自然通風や自然採光による地域風土に根差した自然エネルギー活用や屋根への太陽光発電パネル設置に加え、生産の稼働状況に連動したきめ細かいエネルギー制御などを可能としている。これらにより、大規模生産施設としては国内初となる「ZEB」認定を取得。「ZEB」は、快適な室内環境を実現しながら建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目的としており、基準となる一次エネルギーの消費量に対して設計エネルギー削減率が100%以上の省エネを達成した建物のみ認定されるものだ。新工場では、H1棟は削減率133%を達成している。
さらに、エネルギー多消費施設である工場では、通常の建築物の省エネ基準では正しく評価できない部分もあり、新工場の建築を請け負った大成建設では「ZEF(Net Zero Energy Factory)」という新基準を考案。この「ZEF」基準に対しても新工場は「nearly ZEF」相当として位置付けられている。「環境に配慮した工場としては、日本でも一番ではないかと考えている」(森氏)。
新工場は、地上2階の構造で延べ床面積は約1万9000m2で、約2500m2のクリーンルームも設置されている。2022年5月から移転を開始。OKI 沼津工場で扱っていた社会インフラ関係の製品や、EMS事業部の実装基板ラインなどを移設する計画だ。人員は最大で500人弱になるとしている。
次ページでは実際に工場の特徴について、写真を中心に紹介する。
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