特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2022年03月22日 07時30分 公開

OKIがインフラ監視用高感度カメラを“ゼロエナジー”に、防災DX事業を拡大製造業IoT(1/2 ページ)

OKIは、太陽光発電により駆動する外部電源が不要な「ゼロエナジー高感度カメラ」を発売する。カメラモジュールを独自開発することで消費電力を約3分の1に低減するなど省電力化を図り、連続不日照9日間のカメラ撮影とデータ送信を実現した。併せて、クラウドベースのインフラモニタリングサービス「monifi」の販売も開始する。

[朴尚洙,MONOist]

 OKIは2022年3月17日、東京都内で会見を開き、太陽光発電により駆動する外部電源が不要な社会インフラ用センサー「ゼロエナジーゲートウェイ」の最新製品となる、夜間など暗い低照度環境でも照明を用いず鮮明に撮影ができる「ゼロエナジー高感度カメラ」を発売すると発表した。高度なスリープ制御に対応したカメラモジュールを独自開発することで消費電力を約3分の1に低減するなど省電力化を図り、連続不日照9日間のカメラ撮影とデータ送信を実現した。併せて、クラウドベースのインフラモニタリングサービス「monifi」の販売も2022年4月に開始する。2022〜2024年度の3年間で、ゼロエナジーゲートウェイはシリーズ全体で5000台、monifiは1000拠点の販売を目指す。

OKIの坪井正志氏と「ゼロエナジー高感度カメラ」 OKIの坪井正志氏と「ゼロエナジー高感度カメラ」[クリックで拡大]

 OKI 取締役専務執行役員 ソリューションシステム事業本部長で、2022年4月から同社のデジタル責任者に就任する坪井正志氏は「当社は社会インフラのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため6つの分野で注力しており、市町村防災やトンネル防災を中心とする防災DXはその1つだ。防災DXでは『インフラ構造物の老朽化対策』と『インフラ構造物の自然災害対策』という2つの課題があり、今回発表するゼロエナジー高感度カメラを含めたゼロエナジーゲートウェイやmonifiは課題解決に大いに役立つ。この防災DX事業として、3年間で売上高100億円を目指す」と語る。

OKIが取り組む防災DX OKIが取り組む防災DX[クリックで拡大] 出所:OKI

カメラモジュールと無線通信で高度なスリープ制御

 ゼロエナジー高感度カメラは、橋りょうなど老朽化が進むインフラ構造物、河川氾濫や土砂災害などの状況を昼夜を問わず監視することのできる高感度カメラである。これまで超音波式水位計や水圧式水位計、加速度センサーなど非カメラ系センサーで展開してきたゼロエナジーゲートウェイのラインアップにカメラが追加されたことで、社会インフラをモニタリングする用途でのカバー範囲を大きく拡大することになる。

ゼロエナジー高感度カメラの主な特徴 ゼロエナジー高感度カメラの主な特徴[クリックで拡大] 出所:OKI

 ゼロエナジーゲートウェイは、太陽光発電により外部電源が不要であるとともに、通信にLTE通信もしくは独自の920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop」を用いることで、ケーブルレスで設置できることを最大の特徴としている。ただし、ゼロエナジー高感度カメラの場合、カメラによる画像撮影や撮影したデータの送信などの消費電力が非カメラ系センサーよりも大きくなることが課題だった。そこで消費電力をできるだけ抑えるため、新たに開発した省電力高感度カメラモジュールと省電力無線通信技術を採用した。

 省電力高感度カメラモジュールは、高感度カメラの動作に必要な機能をまとめたモジュールについて機能単位でスリープ制御を行うことにより、同じ高感度カメラセンサーを用いる汎用品と比べて消費電力を約3分の1に低減した。

省電力高感度カメラモジュール 省電力高感度カメラモジュール[クリックで拡大] 出所:OKI

 省電力無線通信技術についても、高度なスリープ制御とデータ送信間隔のインテリジェントな制御によって省電力化を実現した。撮影する画像の解像度がVGA(640×480)、撮影間隔が30分という、社会インフラ監視における通常条件であれば、太陽光発電が十分に行えない連続不日照が9日間続いても稼働を継続できるという。

省電力無線通信技術 省電力無線通信技術[クリックで拡大] 出所:OKI

 また、太陽光発電からの充電についても、バッテリー側に新たな充電メカニズムを組み込むことで、曇りの少ない日照でも効率よく充電を行えるようにした。省電力に加えて、少ない日照でも充電が行えるようにすることで、ゼロエナジー高感度カメラを実用化する上での課題解決につなげた。

高効率充電技術 高効率充電技術[クリックで拡大] 出所:OKI

 この他、ゼロエナジーゲートウェイの他のセンサーと連携することで傾きや水位の異常を検知しカメラの撮影頻度を通常モードの30分に1回から5分に1回に変更するセンサー連携機能や、耐環境性能を実現するOKI独自の「ラギダイズ技術」を基にした雨天時のセルフクリーニングによる画質劣化を防止する機能などを搭載している。

 ゼロエナジー高感度カメラの仕様は、外形寸法が本体で230×210×165mm、カメラ部で146×180×229mm、重量が約5?。通信は、920MHz帯マルチホップ無線のSmartHopの他、NTTドコモのLTE-Cat.M1の回線を利用できる。カメラは、0.05ルクスの明るさから使用可能で、最大画素数は1920×1080(フルHD)、画角は水平109度、垂直59度。動作温度範囲は−20〜60℃。

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