パナソニックのエッジAI基盤「Vieureka」が独立分社、JVCケンウッドなどが出資:人工知能ニュース(2/2 ページ)
来客分析の事例では、ある菓子メーカーが菓子売場における販売機会の定量化を行って売場改善を実施し、前年同期比で約10%の売上高増という成果を得ている。
Vieurekaの来客分析の事例[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
異常検知の事例では、トーア紡マテリアルがVieureka共創パートナーのIoT.kyotoが提供するサービスを使って、腐食製造における表面汚れや異色繊維の自動検知による少量化を実現した。
Vieurekaの異常検知の事例[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
介護業務支援サービスでは、HITOWAケアサービスがパナソニックHDのサービス「LIFELENS」による入居者のプライバシーに配慮した遠隔見守りを約1500床に導入しており、夜間巡視業務を従来比で77%削減できているという。「これらはPoCではなく、社会実装された成果だ」(宮崎氏)。
Vieurekaの介護業務支援サービス事例[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
パナソニックHDのVieureka事業は、2017年6月に研究開発部門傘下の新規事業として発足。その後、インキュベーション組織である事業開発室で事業拡大にチャレンジしてきた。パナソニックHD 執行役員 グループCTO、コーポレートイノベーション・ベンチャー戦略担当の小川立夫氏は「2012年に出会った当時から宮崎はエッジAIの可能性に着目し、そこから10年間へこたれることなく社内でチャレンジしてきた。しかし、Vieurekaのような多くのユーザーに広く使ってもらうことで大きくスケールさせる必要があるプラットフォーム型のビジネスは、パナソニックの中で抱えてリニアに着実に進めるよりも、社外からの出資を得て勝負し成長を加速させる必要があると考えた。今後は、パナソニックHDから、第2第3の宮崎を輩出できるようにしていきたい」と強調する。
Vieurekaへの出資を決めたJVCケンウッドは、累計で200万台出荷する通信型ドライブレコーダー端末が成功を収めており、2021〜2023年度の中期経営計画「VISION2023」では、通信型ドライブレコーダー端末の付加価値向上によるサービス事業の創出を目標の一つに掲げている。同社 代表取締役 専務執行役員、モビリティ&テレマティクスサービス分野責任者、事業改革担当の野村昌雄氏は「その実現に向けて大きな期待をかけているのがVieurekaだ。WiLからの紹介によってつながりが生まれた中で、特にエッジAI遠隔マネジメントソリューションを高く評価した。今後は、通信型ドライブレコーダー端末以外への展開にもVieurekaを活用していきたい」と出資の狙いを説明する。
パナソニックHDとJVCケンウッドの縁を取り持ったWiLでジェネラルパートナー兼共同創業者を務める松本真尚氏は「大企業のクローズドイノベーションをオープンイノベーションに変え、大企業からスタートアップが生まれる新たな形を作ることができてうれしい。親元の大企業が出資して設立されるスタートアップは数多くあるが、今回のような大企業同士の合弁での事例はそう多くはないだろう」と述べている。
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