エッジコンピューティングの逆襲 特集
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» 2022年06月08日 07時30分 公開

パナソニックのエッジAI基盤「Vieureka」が独立分社、JVCケンウッドなどが出資人工知能ニュース(1/2 ページ)

パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)、JVCケンウッド、米国ベンチャーキャピタルのWiLの3社は、パナソニックHDの研究開発部門の傘下で実績を積み重ねてきたエッジAIプラットフォーム「Vieureka(ビューレカ)」を提供する新会社「Vieureka株式会社」に共同出資すると発表した。

[朴尚洙,MONOist]

 パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)、JVCケンウッド、米国ベンチャーキャピタルのWiL(World Innovation Lab)の3社は2022年6月7日、オンラインで会見を開き、パナソニックHDの研究開発部門の傘下で実績を積み重ねてきたエッジAI(人工知能)プラットフォーム「Vieureka(ビューレカ)」を提供する新会社「Vieureka株式会社」に共同出資すると発表した。急拡大が見込まれるエッジAI活用市場を対象にグローバルに事業を展開し、2030年度には売上高100億円を目指す。

会見の登壇者 会見の登壇者。左から、パナソニックHDの小川立夫氏、Vieureka 代表取締役に就任する宮崎秋弘氏、JVCケンウッドの野村昌雄氏、WiLの松本真尚氏。宮崎氏はVieurekaのエッジAIカメラ、野村氏は通信型ドライブレコーダー端末を手に持っている[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 新会社としてのVieurekaは2022年7月1日に営業を開始する。代表取締役には、これまでパナソニックHDで同事業をけん引してきた宮崎(実際の漢字は右側の「大」が「立」のたつさき)秋弘氏が、パナソニックHDを退職した上で就任する。本社所在地は、パナソニックHDと同じ大阪府門真市に、東京オフィスはパナソニック コネクトの本拠がある汐留浜離宮ビル6階に置く。株主構成は、パナソニックHDが約33%、JVCケンウッドが約33%、WiLが約32%で、宮崎氏も約2%を保有する。取締役は宮崎氏の他、パナソニックHD、JVCケンウッド、WiLが1人ずつ派遣する。営業開始時の従業員数は19人である。

新会社のVieurekaはパナソニックHD、JVCケンウッド、WiLが共同出資して設立される 新会社のVieurekaはパナソニックHD、JVCケンウッド、WiLが共同出資して設立される[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

“現場”の生産性向上で期待されるエッジAI

 新会社のVieurekaは、人に代わって働くエッジAIについて、グローバルでの社会インフラ構築に向けた取り組みを加速するべく、これまでパナソニックHD傘下での事業展開から離れ、国内ドライブレコーダー市場で高い実績を持つJVCケンウッドと、大企業からのオープンイノベーションを促進するWiLの共同出資を得て、独立運営していくことになる。Vieureka 代表取締役に就任する宮崎氏は「少子高齢化による人手不足や熟練工の技術伝承、コロナ禍を契機にした企業の働き方改革などの近年顕在化している社会課題では、人の対応が必須と考えられている“現場”の生産性向上が必要だ。そこで活用が期待されているのが、ハードウェアとAIを掛け合わせたエッジAIである」と語る。

近年顕在化する社会課題の解決には“現場”の生産性向上が必要 近年顕在化する社会課題の解決には“現場”の生産性向上が必要[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 エッジAIは、IoT(モノのインターネット)機器やセンサーなどエッジ端末から得たデータをクラウドに送信しAI処理を行うクラウドAIに対して、エッジ端末に高性能なエンジンを搭載しAI処理を行う技術のことである。クラウドAIと比べて、リアルタイムな判断やプライバシーの担保、通信コストの大幅な削減などのメリットがあり、エッジAI活用の市場規模は2027年までに80億米ドル(約1兆円)超になるという予測もある。

クラウドAIとエッジAIの違いエッジAIの特徴 クラウドAIとエッジAIの違い(左)とエッジAIの特徴(右)[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 ただし、エッジAIを交通、店舗、工場、病院など多種多様な現場で社会実装するには、開発、導入、運用という3つの高いハードルを下げる仕組みが必要になるという。宮崎氏は「これらの仕組みがなければPoC(概念実証)止まりとなり、社会実装との間にある死の谷を超えられなくなる」と指摘する。パナソニックHD傘下でのVieureka事業の強みは、エッジAIハードウェアの他、アプリケーションの開発を容易にするSDK(ソフトウェア開発キット)、開発したアプリケーションの運用に役立つエッジAI遠隔マネジメントソリューションで3つのハードルを下げるとともに、総計65社(ソリューション51社、ハードウェア9社、セールス・インテグレーション5社)の共創パートナーとともに社会実装の実績を積み上げてきたことにある。

エッジAIの社会実装には3つのハードルがあるVieureka事業のプラットフォーム展開 エッジAIの多種多様な現場への社会実装には3つのハードルがある(左)。Vieureka事業ではこれらのハードルを下げるプラットフォームを展開してきた(右)[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
Vieureka事業の共創パートナー Vieureka事業の共創パートナー[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
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