ラティス・テクノロジーは、バーチャル検証によるデジタル擦り合わせを支援する製造業向け「XVL Studio VR」において、生産技術領域向けに機能強化した最新の「VR Plus オプション」を、2022年4月18日から提供開始すると発表した。
ラティス・テクノロジーは2022年4月13日、バーチャル検証によるデジタル擦り合わせを支援する製造業向け「XVL Studio VR」において、生産技術領域向けに機能強化した最新の「VR Plus オプション」を、同年4月18日から提供開始すると発表した。
XVL Studio VRは、3D CADなどで作成した大容量の3Dデータを、超軽量3DフォーマットのXVL(eXtensible Virtual world description Language)に変換するだけで、データの加工なしに、VR(仮想現実)空間に表示でき、検証作業が行えるソリューションである。実機を待たずにデジタルで検証できるため、フロントローディングの実現に寄与する。
また、設計品質の向上を目的に、試作前に、製造部門を巻き込んだ現場目線でのデザインレビューが必須となるが、VR空間で設備/生産ラインのレイアウト検討や生産段取り設計の確認などを行うことで、生産性や作業性を、実機レスでもリアルに評価できる。
一方、XVL Studio VRの先行ユーザーの意見として「コントローラーによる操作が煩雑過ぎる」「HMD(ヘッドマウントディスプレイ)のケーブルが邪魔である」といった声や、「遠隔地の関係者間でVR体験を共有することで、出張をしなくても現物に近い擦り合わせを実現したい」などの要望が寄せられており、最新のVR Plus オプションでは、バーチャル検証によるデジタル擦り合わせを支援する機能強化を図った。
具体的には、「ワイヤレス対応」「出張レスコラボレーション」「リアルタイム連動」の3つの機能を強化した。
ワイヤレス対応では、HTCの「VIVE 商用向けリモートレンダリングソリューション」を活用することで、ワイヤレスなVR検証環境を提供する。ケーブルがなくなることで、VR体験者の動きの制約が少なくなり、実作業に近いイメージで動作検証などが行える。
出張レスコラボレーションでは、マルチプレイ対応によって、離れた場所にいる複数の関係者が同じVR空間に参加でき、合同レビューなどが行える。例えば、作業者と別の拠点にいる製造担当者がバーチャル環境にVRで参加し、さらにその様子をディスプレイを通じて各拠点にいる関係者が第三者視点で確認するといった検証が可能となる。
リアルタイム連動では、非接触ハンドトラッキングセンサー「Leap Motion Controller」を活用することで、実際の作業者の指の動きを3Dの手のモデルにリアルタイムに連動させながらデジタル検証が行える。なお、従来はコントローラーを用いて指の形が固定された3Dの手のモデルを動かすことで検証を行っていた。
最新のVR Plus オプションを活用することで、設計や製造部門、ベテランや若手など、離れた拠点間でも、いつでもどこで手軽に、さまざまな視点でのデジタル検証が可能となり、不具合の見落しや判断が付かないことによる誤指摘の発生削減が見込めるとしている。
なお、最新のVR Plus オプションは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業(「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の一環となる「サプライチェーンの迅速かつ柔軟な組換えに資するデジタル技術の開発支援」)において得られた成果を一部活用しているという。
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